(『天然生活』2024年8月号掲載)
家中の窓を開けて風を通し夏ならではの仕事を楽しむ
奥平眞司さんの夏は忙しい。
初夏のらっきょう漬けを皮切りに、次は赤シソドリンクづくり。
ドクダミの花が咲いたらそれを天日干しにしてウオツカに漬けてチンキを仕込みます。

この夏は家庭菜園に力を入れている。きゅうり、枝豆、ミニトマト、バジルなどを自作の木箱プランターで育て収穫を楽しみに
梅干しづくりも欠かせない夏の行事だし、その合間に刈っては生えてくる雑草も取らなくては......。
忙しい、でもそれがたまらなく楽しいようです。
自身の日常、生活の工夫、料理レシピなどをユーチューブチャンネル「OKUDAIRA BASE」で紹介している奥平さん。
「暮らしが仕事」と話す目はキラキラ輝いています。そんな奥平さんが暮らすのは、築50年ほどの木造2階建ての古屋。
海に近い駅を降り、住宅街を抜け、鬱蒼と木が茂る細い道の奥にその家はあります。

肌に触れるとひんやりした感触が心地いい畳の居間。畳は通気がよく、吸湿性にも優れているという特性も
小山の上、ぐるりと木々に囲まれるように建つ家は素晴らしい眺望。春は鳥のさえずりが、夏には虫の大合唱が、家のどこにいても聞こえてくる、自然をダイレクトに感じられる暮らしです。
この家では3度目の夏。山の上の家は思った以上に快適で、夏が大好きな奥平さんにとっては、一連の夏仕事も含め「待ってました!」というところです。
「全室和室の一軒家で、エアコンのある部屋は少しだけ。ふだんは自然の風で過ごします。家中の窓を開けておくと、谷から上ってくる風が通り、快適なんです」

DIYを繰り返し整えたキッチン。厳選の道具は、木の板を貼った壁にディスプレイするように収納
居間が東向きのため、太陽の光がたっぷり入る午前中はさすがに暑い。だから、すだれをかけて光を遮ります。
得意のDIYや庭仕事などの力仕事は、太陽が家の裏に回り込む午後になってから。汗をたっぷりかいたら、自家製の梅干しをつまんで塩分補給をし、ひと休み。

縁側にある縁台もDIYでつくった。サボテンが育つ陶器もなんと奥平さん作。家にある器の多くは自分でつくったという
あまりにも暑ければお風呂に入り、ミストシャワーを浴びて、クールダウンするのだとか。夕方5時まで働いたら、今日の仕事はおしまい。
縁側に腰かけ夕涼みをしたり、キャンプ用の椅子やテーブルを出し、妻とここで夕飯を食べることも夏の日常です。

1階の仕事部屋。椅子は軽いキャンプ用で、縁側や庭に持ち運びしやすい
暑いからといって、クーラーをつけて終わりにしてしまうのはつまらない。
夏の暑さ、冬の寒さも苦ではなく、それに対処するよう工夫することこそ「暮らしの楽しみ」だと思っているのです。
<撮影/山川修一 構成・文/鈴木麻子>
奥平眞司(おくだいら・まさし)
YouTubeチャンネル『OKUDAIRA BASE』主宰。料理や季節の手仕事、庭仕事、旅行など、「暮らしを楽しむ」動画を配信。チャンネル登録者数は36万人を超え、広い世代に支持される。暮らしの道具を扱うブランド「ki duki(キヅキ)」で、キッチンツールの開発やデザインも行う。https://linktr.ee/okudaira_0421/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです