(『天然生活』2024年8月号掲載)
異国文化をミックスしリゾート風のいやしを空間に
スキンケアブランド「DAMDAM」の創業者、フィリップ・テリアンさんとジゼル・ゴーさんのセカンドハウスは、三浦半島・諸磯の海沿いの崖上に建つ築80年ほどの古民家。
木曜日の夜に東京を発ち、金曜日はリモートワーク、週末をゆっくり過ごして日曜日の夜に東京へ帰る2拠点生活をしています。

縁側でくつろぐフィリップさん。夏でも朝は涼しいので、コーヒーを飲みながら、ここでのんびりする
「3年ほど前に初めて見に来たときは人が住まなくなって25年以上たっていたので、庭は雑草が生い茂りジャングルのようでした。家も荒れ果てていましたが、天井などの枠組みは美しく残っていて、ポテンシャルを感じたんです。なにより、太平洋と富士山が見渡せる眺望に魅了されました」

キッチンではお釜のふたをトレイ代わりにしたり、蝿帳をドライハーブにかぶせたり、昔ながらの雑貨が活躍
どこにいても海か庭が見えるようにとリクエストして改築。欄間部分をすべてガラスにしたことで、日が燦々と入る明るい家になりました。
海風があるので夏でも朝晩は涼しく、冷房を使うのは日中の数時間で済むそう。
ふたりの審美眼で選ばれた家具は和と洋が融合され、海岸で拾った貝殻や庭のハーブなども飾られています。

ハーブをたくさん植えている庭

夏の食卓によく登場するカレーに欠かせないスパイス
「海が眼前に広がるので、ビーチリゾートのようなイメージでしつらえました。インドのカンタ(古い布を継ぎ合わせた刺し子)やモロッコの陶器など、クラフトマンシップを感じるものやプリミティブなものが好き。とくに夏は暑い国のそうした小物を用い、鮮やかな色使いやナチュラルな素材から、涼を感じています」

日本家屋の天井と、イサム・ノグチの照明の雰囲気が美しく調和する和モダンなリビング
フィリップさんの出身地、フランス・ブルターニュのビーチに似ているという海岸まで徒歩数分。泳いだり、散歩したり、日光浴したりと海で過ごす時間は、夏の最大の楽しみです。
ようやく整ってきたという庭では、トマトやかぼちゃ、オクラなどの野菜や、多種多様なハーブを育てるのに大忙し。
自分で育てた食材でつくる料理は何ものにも代え難いごちそうで、各種スパイスを効かせたカレーが、夏のお気に入りです。

食器棚は古道具屋で見つけた日本製。旅先で求めたものや、フィリップさんが母親から受け継いだものなど多種多様な器を収納
「夏は来るたびに変化する庭を見るのも楽しいし、ビーチリゾートにいる気分になれるので、旅行に行かなくてもいいくらい(笑)。東京ではずっと忙しいけれど、この家に着くと電源を落とすように、とてもリラックスできますね」
<撮影/星 亘 取材・文/長谷川未緒>
フィリップ・テリアン(ふぃりっぷ・てりあん)
フランス生まれ。PR、コンサルティング会社を経営。パートナーのジゼル・ゴーさんはフィリピン生まれで、シンガポール版『ハーパーズ バザー』の元編集長。2017年、2人で自然由来のスキンケアブランド「DAMDAM」を創業。ナチュラルな美しさの追求に真摯に取り組んでいる。https://damdamtokyo.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです