(『天然生活』2024年8月号掲載)
フィリップさんの涼やかな家の工夫
リゾートホテルのようなイメージでしつらえた暮らしぶりを拝見。
目にも涼しげなすだれを室内に
ゲストルームの窓一面にカーテンのように吊るしているのは、日本で古くから日除けとして使われてきたすだれです。

母屋の離れにあるゲストルーム。海外からの友人など、とくに夏はゲストがよく泊まりに来る
「ブラインドも素敵だけれど、すだれは吊るすだけでビーチリゾートのような雰囲気になるので、好んで使っています」
外から中が見えないよう、目隠し効果も兼ねつつ、開放感あるアジア風のインテリアも演出。
海辺で出合った貝殻を飾る
海へ行ったときは、形のいい貝殻や、オブジェのような流木、漂流物を宝探し気分で集めるというフィリップさん。

白い壁と木の棚がナチュラルな雰囲気のパウダールーム。ブラシなどの実用品も整然と並ぶ
拾ってきたものは、夏のインテリアとして家のあちこちに飾ったり、貝殻は水回りや浴室での石けん置きにも。
「ビーチコーミング(海辺での収集)は楽しくて、つい夢中になり、時間を忘れて探してしまいます」

海を漂いながら生まれた造形が美しい植物や貝殻。飾ってあるだけで、リゾート気分に
プリミティブな椅子でリゾート風に
リビングにオブジェのように置かれているのは、アフリカ・マラウイ共和国の椅子。

窓からは海風が部屋に入り込む。キリムを合わせてリラックススペースに
「ラタン素材は、海の景色と相性がいいんですよね。手仕事から素朴な温かみも感じます」
インドのカンタのクッションを敷き、トルコのキリムのクッションを置いて背もたれに。実用性も抜群で、座面は奥行きも横幅もあり、ゆったり座り心地がいい。
海色のカンタでいつものソファを一新
インテリアで一番の模様替えは、ソファやベッドにあしらう布もののチェンジ。

ゲストルームの夏仕様のリビング。テーブルの上には浜辺で拾った貝殻を並べ、夏気分を味わってもらう
「冬は暖かい素材のカバーを使っていますが、暑くなってきたら、インドのクラフトマンシップが光るカンタに。一気に夏仕様になり、気分も盛り上がります」
まざまな色の中でも、とくにこのコバルトブルーが好きで、夏に多用する色なのだとか。
藁のマットで夏のお茶時間を
地方の喫茶店の雑貨コーナーで見つけたという藁製品をランチョンマットのように使い、涼しさを演出。

モロッコのプレートに、自家製ジャムとタヒニ(ごまペースト)をのせて
日本の夏の器といえばガラスだが、フィリップさんは寒色の器をよく使うそう。
「ガラスで気に入ったものがまだ見つからなくて。暑い国から持ち帰った青やグリーンなど落ち着く色の器を食卓に並べて、涼しさを感じています」

庭で採れたたんぽぽ、とうがらし、タラゴンを乾燥中

キッチンの棚にずらりと並ぶびんもの。春から夏の間、庭で収穫するハーブをドライにして、ハーブティーに

フェンネルシード、カルダモンシードを砕き、ヨモギとお茶に
<撮影/星 亘 取材・文/長谷川未緒>
フィリップ・テリアン(ふぃりっぷ・てりあん)
フランス生まれ。PR、コンサルティング会社を経営。パートナーのジゼル・ゴーさんはフィリピン生まれで、シンガポール版『ハーパーズ バザー』の元編集長。2017年、2人で自然由来のスキンケアブランド「DAMDAM」を創業。ナチュラルな美しさの追求に真摯に取り組んでいる。https://damdamtokyo.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです