(『77歳 365日の紡ぎ方: 益子暮らし、元カフェ店主 信田良枝さんの居場所』より)
環境に負荷をかけない気持ちよさ
「カフェを始めた頃の話です。外食先でペーパータオルが山ほど捨ててあるのを見て、うちのカフェではやりたくないな、と思って、さらしのハンドタオルをつくりました」

カフェ時代のトイレのハンドタオルを再現してもらいました。写真は白いタオルを使ったもので、カラフルな刺繡糸でかがった縁がかわいらしい
信田さんは、なるべくごみを出さない生活を送っています。理由は、ごみは地球を汚すと考えているから。
トイレのペーパータオルをはじめ、キッチンペーパーやティッシュペーパーはできるだけ使わず、たとえばキッチンペーパーの代わりに白いさらしを使っています。汚れたものはその日のうちに下洗いし、洗濯機へ。
また、ラップは耐熱性のシリコンラップを代用。いろいろなサイズを持ち、食品の保存や電子レンジの解凍などにフル活用し、使用後は洗って乾かし、また使います。過剰包装も嫌い、買い物では断ることもあるそうです。

耐熱性のフタは、ピチッとフィットするシリコン製と、ポンとかぶせるポリプロピレン製を使い分けています。シリコン製は、野菜の保存にも使用
ごみはなるべくリサイクルへ。庭にコンポストを設置し、生ごみはそこに入れ、堆肥にします。

電気を使わないコンポスト。しばらくして堆肥になったら、庭の樹木に撒きます。カフェ時代は庭のあちこちに置いていたそう
空き瓶は花器やジャムの保存に。ペットボトルは資源ごみへ。本は古本を購入することもあり、読み終えたら買い取ってもらえるしくみを利用していると言います。

古本もよく買います。読み終えたら段ボール箱に詰め、引き取りに来てくれる宅配買い取りで、次へバトンタッチ。『バリューブックス』がいいみたい、と
「環境問題は、快適さと天秤にかけられることが多いですよね。たとえば、洗濯に使う柔軟剤。私は“フカフカ”でなくても十分なので使っていません。今は、そういう暮らしが気持ちいいと感じています」
本記事は『77歳 365日の紡ぎ方: 益子暮らし、元カフェ店主 信田良枝さんの居場所』(主婦と生活社)からの抜粋です
〈撮影/林ひろし〉
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77歳、益子暮らし、元カフェ店主信田良枝さんの居場所
食べること、着ること、そして暮らすこと。益子暮らし、元カフェ店主・信田良枝さんの“心地よさ”の秘訣や考え方をご紹介した1冊。信田さんの言葉は、ひとつひとつ核心を突いていて、日々を楽しむヒントがたくさん。スコーン、キーマカレー、りんごジャムのレシピや、ドイリー、押し花アート、腹筋・殿筋運動のやり方なども掲載!
信田良枝(のぶた・よしえ)
1947年東京都生まれ。益子焼で有名な栃木県益子町在住。26歳で結婚し、33歳で益子に移住。一男一女を授かる。陶芸家の夫を支えながら、子どもたちを育てあげた後、55歳でカフェ「ごはん屋ギャラリー『猫車』」をオープン。素敵な器とおいしい料理、癒やしの空間で人気店に。69歳でカフェを閉め、70歳でひとり暮らしを開始。自分のためにつくった服が評判を呼び、年数回、自宅で個展を開いている。
インスタグラム:@minnano_coromo