(『天然生活』2020年12月号掲載)
読むたびに感じられる温かさとやわらかな刺激
「娘が生まれたばかりのころはなかなか時間や体力の余裕がありませんでしたが、最近では夜にゆっくり読書することもできるようになりました」
そう話すKIKIさん。
たびたび読み返す本のひとつが、『はしっこに、馬といる』。沖縄・与那国島で暮らす著者が自然のなかで馬と過ごす生活を綴った作品です。
「以前、旅行で与那国島を訪れたことがあり、小柄な与那国馬の存在は知っていました。その後、たまたまこの本を知ったんです」

『はしっこに、馬といる ウマと話そうⅡ』(河田 桟著 カディブックス)
馬と主従関係を結ぶわけではなく、馬の声に耳を傾けながら、対等につきあい、自然に共存しようとする。そんな著者が綴る素直な気持ちは、KIKIさんが大好きな山の世界にも通じるものがあるといいます。
「山に入ると人間の都合は優先されず、自然のペースに合わせて行動しなければなりません。でもそれはわずらわしいことではなく、むしろ気持ちが楽になるんだなと、山に登るようになってから思ったことがあります。日常の生活でも、流れに身を任せられるようになるし、思い通りにことが運ばなくてもしかたないと思える。この本を読んでいると、そんなことを思い出します。生きている世界はまったく違うけれど、私にとっての山が、著者の河田さんにとっての馬なのかもしれないと思うんです」
KIKIさんが何度も手に取るという本の多くが、山や自然、動物などについて静かに語りながら、人間や人生、世界についての本質をとらえている作品のように思えます。
「読むとほっとするような、じんわりとした温かさがある。同時に程よい刺激があって、心や思考のめぐりをよくしてくれるんです」

リビングのソファが本を読むときの定位置。読書中、愛犬の椿がかたわらに座ることもしばしば。夫も本好きで、夫婦で面白かった本を薦め合うことも多い
KIKIさんの読書のおやつ
麻布野菜菓子の「野菜チップス(あじ塩)」

にんじんやかぼちゃ、紫いも、おくらなどをかりっと揚げたシンプルなチップス。
「夜にひと息ついて読書するときのお供。野菜なのでカロリーなどをあまり気にしなくていいのもうれしい。お酒にもお茶にも合います」
〈撮影/林 紘輝 取材・文/嶌 陽子 ヘアメイク/草場妙子〉
KIKI(きき)
武蔵野美術大学在学中からモデルとしての活動を開始。女優としても活躍するほか、エッセイやコラムなどの文筆活動も行っている。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです