大人の趣味に「クレヨンスケッチ」の魅力
ふだん、絵を描く機会のない人でも、暮らしのなかで気軽に楽しめる絵の描き方が知りたい。
そんなお願いに「面白そうですね! “それっぽく”描けるという点では、クレヨンがおすすめです」と応えてくれたのは、色鉛筆やクレヨンを中心に描く作品が人気の川崎由紀さんです。
川崎さんが教えてくれるのは、「絵を描く楽しみ」を感じられる、見たまま、感じたまま楽しく描くスケッチ。
「馴染みのあるクレヨンを使った、下描きなし、難しい道具や知識なしのどなたでも始めやすい方法です。上手に描くことよりも、のびのびと絵を描くことを楽しめるきっかけになれたら嬉しいです」

ころんとかわいい
りんごを描いてみよう
川崎さんに教わりながら、絵を描くのが好きな編集スタッフも挑戦。今回は、秋冬の楽しみ「りんご」を描いてみます。皆さんも一緒にやってみましょう!

用意するもの

クレヨン
面塗り向きのオイルパステルを使用。100円ショップで手に入るものなど。

用紙
コピー用紙、色画用紙、クラフト紙、ボール紙など、ご自宅にあるものを。

綿棒
クレヨンで描いた部分をぼかすときに使う。一般的なタイプでOK。
あるといいもの

ベビーオイル
影をつけるときに。オイルパステルと相性がよく、やさしい影に仕上がる。

カッター
果物のちょっとした「キズ」などを表現したいときに表面を削るように使う。
STEP1 描きたい角度を探ってみよう
太田(編集スタッフ):まずはモデルさん選びですね。川崎さんは、いつもどんなところを見るのですか?
川崎さん:果物の形や表面の色を見比べて、かわいいなと思うものを。決まったらぐるぐる回して、枝の向きなども見ながら「ここだね」って。今回はこちらにしましょうか。

STEP2 「中の色」を探って塗ってみよう
川崎さん:絵のモデルが決まったら、まずは、「中の色」を探っていきます。今回だったら、りんごの中に隠されている色というか。
太田:黄色や緑色っぽいところですか?
川崎さん:そうです。最初から濃い色で描くよりも、薄い色から描くほうが失敗しづらいというのもあります。では、薄い色からということで、黄色から。あまり深く考えず、なんとなくシルエットを描き始めます。


太田:私も何も考えずに描いてみますね。ぐるっと丸く描いてもいいんですか?
川崎さん:もちろんです。縦に描いたり、丸く描いたり。枝も、まずは黄色で描いて、あとから茶色で描いてもいいですよ。ここから、クレヨンで塗っては綿棒で伸ばし、塗っては伸ばし……を繰り返します。これで絵になるの?と思うかもしれないですが、ご安心ください。

緑色に見える部分は黄緑色のクレヨンで
STEP3 「表面の色」を塗ってみよう
川崎さん:なんとなく薄い色で全体像を描いたら、濃い色を使います。今回はオレンジ色や赤色ですね。このりんごは縦の模様が特徴的なので、縦にジグザグと塗ってみましょうか。

〈1〉オレンジ色で塗り……

〈2〉塗った部分をぼかす

〈3〉赤色で縦に塗り……

〈4〉塗った部分をぼかす
太田:このりんご、私には赤く縦のラインが入っているように見えるんですが、川崎さんはそのラインを描いているんですか?
川崎さん:そうです。描くものの模様も意識するといいですよ。
太田:あれっ、いつの間にか枝の部分ができていますね! 茶色を使ったんですか?
川崎さん:はい、茶色で描いて、綿棒でぼかして。最初に枝ができているとやる気が出るので。先ほどと同じように、塗ってはぼかし、塗ってはぼかし……を繰り返します。「いいな」と思ったときにやめるのもポイントです。

STEP4 影やハイライトをつけてみよう
川崎さん:あとで整えてもいいので、いったんここまで。次は、影やハイライトを入れていきましょう。ふんわりした影に仕上げるために、綿棒にベビーオイルを少量つけて、りんごの下をなぞるように塗ります。

太田:ものの形に沿わせたほうがいいですか? 今回だったら、カーブさせながら?
川崎さん:あまりやりすぎず、下をちょっとなぞる程度で大丈夫です。塗ったら、オイルをつけた綿棒で、グレーのクレヨンの色をとり、先ほどなぞった部分の上から塗ります。


太田:影に茶色を使うのもありですか?
川崎さん:ありです。何でも試していただいて。絵から色をとると馴染むこともあるので、りんごを描くときに使った綿棒もありです。

太田:影が入ると、立体感が出ますね。
川崎さん:ハイライトを入れると、さらにそれっぽくなりますよ。光が当たっていると思う部分を白いクレヨンで塗り、指で軽くぼかしたら、りんごのスケッチの完成です!

〈カッターを使ったプチテクニック〉
もう少し本物に近づけたい方は、カッターを使ったテクニックを。ちょっとした「キズ」や「模様」がある部分を、縦に軽くなぞったり、カリカリと細かく削ったりするとリアルになる。

STEP5 サインを入れてみよう
川崎さん:さて、最初の黄色い丸から、りんごらしくなりました。さらにいい感じに見せるテクニックが「サイン」です。好きな濃さ、太さの鉛筆で入れてみましょう。
太田:川崎さんはどんなサインなんですか?
川崎さん:その時々で違うんですが、「りんご」のように描いたものの名前を入れたり、100枚チャレンジをしていたときは「001」とナンバリングしたり。名前も、「ゆき」「yuki」など、そのときの気分で表記を変えています。

太田:今回は「yuki」にしたんですね。絵の横に入れたり、下に入れたりしてもいいですね。
川崎さん:はい、サインも自由に。さて、今回はこんな感じで完成としましょう。それでは、みんなでりんごをいただきましょうか。
\りんごのスケッチの完成!/

〈編集スタッフも描いてみました〉
淡い雰囲気が好きなので、ハイライトを入れずに仕上げました。ただし、全体的にぼやっとしないよう、赤色の縦のラインはぼかしすぎず、ところどころ残して。描き終えたあとはりんごのケーキを焼いて楽しみました。


〈撮影/林 紘輝 取材・文/太田菜津美(編集部)〉
川崎由紀(かわさき・ゆき)

北海道生まれ。東京都在住。手描きによる温かみのあるイラストレーションで雑誌、書籍、パッケージ等の制作多数。絵本の絵に『あわあわ ふわふわ! くまの たんくん』(『ちいさなかがくのとも』文:大川久乃/福音館書店)。『おかゆ』(文:神田ひかり/エンブックス)がある。山田博之イラストレーション講座修了。TIS会員。
インスタグラム:@kawasakiyuki_illustration
HP:https://www.kawasakiyuki.net/




