• 年齢を重ねるほど、ちょっとした物忘れが増えるのはだれにでもあることです。料理研究家の松田美智子さん医学博士の朝田隆先生に、認知症予防の観点から、物忘れにおすすめの食材や調理法を教えてもらいました。今回は、朝田先生が提唱している「まごたちわやさしいに」の食材から、「た=卵」を使った「チーズ入りオムレツ」のレシピを教わります。
    (『天然生活』2024年11月号掲載)

    「チーズ入りオムレツ」のつくり方

    画像: 「チーズ入りオムレツ」のつくり方

    とろりと半熟状の卵にチーズの風味とコクがよく合う。ピーマンとサワークリームを合わせたトッピングが絶妙。

    卵(た=卵)の栄養

    完全栄養食といわれる卵。脳内の情報伝達を行うアセチルコリンの原料となり、脳を活性化する「コリン」を多く含むのが卵。食品のなかで最も脳内に吸収されやすいという特徴があり、認知症予防も期待できる食材のひとつ。

    材料(2人分)

    ● 溶き卵3個分
    ● ピーマン1個
    ● サワークリーム大さじ1
    ● バター大さじ1
    ● エメンタールチーズ1/4カップ
    ● 塩少々

    つくり方

     ピーマンはへた、種、わたを除いて5mm角に切り、キッチンペーパーに包んで水けを除き、サワークリームと混ぜる。

     厚手の鉄のフライパンを中火でゆっくり温める。バターを溶かし、弱めの中火にして卵液を流し入れる。ひと呼吸おいたらゴムべらで大きく円を描くようにして混ぜ、弱火にして中心にチーズをのせ、火を止める。

     ふたをして好みの半熟具合に仕上げ、滑らせるようにして器に盛る。をのせ、好みで塩をかける。

    物忘れ防止のための食事のすすめ

    物忘れと認知症は似て非なるものです。物忘れが増えると不安に感じることもあると思いますが、生活に支障のない物忘れはいわば黄色信号。認知症を遠ざけるような生活習慣、食事を心がけるとよいですね」と、医学博士の朝田隆先生。食生活については何より栄養バランスが大事だそう。

    医学博士の吉村裕之氏が提唱しているバランスのよい食事の合言葉「まごわやさしい」に加えて、朝田先生は「た(卵)」「ち(チーズ・乳製品)」「に(肉)」を加えた「まごたちわやさしいに」の提案をしています。

    「とくに、脳の約4割を構成しているタンパク質は積極的に摂りましょう。また、よく噛んで食べることで脳の刺激になり、歯ぐき、舌、頬などの筋肉に活力を与えて『脳活』にもつながります。野菜なら歯ごたえよくゆでるなど、心がけてみてください」

    さらに、食事内容も当然ながらシチュエーションも大切とのこと。

    「アメリカで行われた研究によると、持続的な孤独を感じている人は、孤独を感じていない人に比べて認知症の発症リスクが91%も高いことがわかりました。食事もひとりでではなく、家族や友人と摂ることが大切だと考えます。高齢者のための会食イベントを実施している自治体もありますし、オンラインで会食するというのもひとつの手です。ぜひ、食事の時間を楽しくおいしく過ごしてください」

    「まごたちわやさしいに」の主な栄養素

    [豆・大豆]…タンパク質、ビタミン、不溶性食物繊維など

    [ごま]…脂質、タンパク質、不溶性食物繊維、カルシウムなど

    [卵]…必須アミノ酸など

    [チーズ]…タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、カルシウムなど

    [わかめ・海藻]…ビタミン、ミネラル、食物繊維など

    [野菜]…ビタミン、ミネラル、食物繊維など

    [魚]…タンパク質、鉄分など

    [しいたけ・きのこ]…ビタミン、不溶性食物繊維、カリウムなど

    [いも類]…炭水化物、ビタミンC、食物繊維など

    [肉]…タンパク質、L-カルニチン、鉄分など

    画像: 物忘れ防止のための食事のすすめ


    〈監修/朝田 隆 料理/松田美智子 撮影/山田耕司 取材・文/結城 歩〉

    松田美智子(まつだ・みちこ)
    日本料理をベースにした家庭料理の教室を1993年より主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった保存食づくりを基本に、いまの時代に無理なく楽しめる季節の仕事を提案。著書に『65歳からの食事革命』(文化出版局) amazonで見る など。
    インスタグラム:松田美智子@michiko_matsuda/自在道具@jizai_dougu

    朝田 隆(あさだ・たかし)
    医学博士。認知症治療・予防の第一人者。筑波大学名誉教授。2015年にメモリークリニックお茶の水を開院。理事長・院長を務める。『面白いほどわかる シニアのための脳の新常識』(宝島社)など著書多数。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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