口あたりのよさの秘密は、しっかりと裏ごしすること

秋の味覚、かぼちゃのおいしさがぎゅっとつまったプリンは、みんなが喜ぶ定番おやつ。
「口あたりがざらざらしていたり、甘すぎたり、なぜか、イメージどおりの味が出ない……」
そんな悩みの解決策には、ちょっとしたコツや原因があるようです。
答えてくれたのは、「甘堂ふわ作」パティシエの照井昌子さん。
「ざらつきの一番の原因は、かぼちゃの処理。皮部分の切り落としや裏ごし作業がしっかりとできていないと、口あたりに影響してしまうんです。繊維が除ききれていなかったり、浅く剥いて皮の緑の部分が入ったりしてしまうのは避けましょう」
自分好みをつくる楽しみ

理想の味に近づけるには、かぼちゃの種類はもちろんのこと、カラメルを煮詰める時間や、砂糖の種類、焼き時間などでも、味に変化を加えることができるそう。
「少し苦みのあるアクセントを入れたいときは、カラメルソースを煮詰める時間をちょっとだけ、プラスしてみる。味にコクを出したいときには、甘味にきび砂糖を使ってみる。こちらもお好みですが、のちほどご紹介するレシピでは、オーブンから出したときに、ほんのちょっとだけゆれる固さで焼き上げ、そのあと、冷蔵庫で冷やして固めていきます。もっと固めが理想なら、焼き時間を少しだけプラスしても食感は変わってくると思います」

今回、照井さんが教えてくれたレシピは、お子さんにも楽しめる苦すぎないカラメルと、コクのある甘さがクセになる、親しみやすい基本のかぼちゃプリンです。
ぜひ、お試しください。
ふわ作流
基本の「かぼちゃプリン」のつくり方

材料(直径12cmの丸型1個分)
〈カラメルソース〉 | |
・グラニュー糖 | 60g |
・水 | 20mL |
・水(後入れ用) | 20mL |
〈かぼちゃペースト〉 | |
・かぼちゃ | 160g(約1/8個) |
※裏ごし後の目安は120g | |
〈プリン液〉 | |
・卵(溶いた状態) | 77g |
・きび糖 | 27g |
・牛乳 | 84mL |
・生クリーム | 84mL |
下準備
・かぼちゃは種、ワタ、皮を取り除く。
・ステンレスの型にバターを塗っておく。
・オーブンを160度に予熱する。
・湯せん焼き用の湯(80度程度)を沸かしておく。
つくり方
1 カラメルソースをつくる。小鍋にグラニュー糖と水20mLを入れて軽くなじませ、強火にかけて煮詰める。
2 ちょうどいい色合いになったら、1に後入れの水20mLを入れて色止めする(苦いのが苦手な方は薄茶色、苦いのが好みの方は濃い茶色を目安に)。
※飛び散りやすいので火傷に注意しましょう。
3 バターを塗った型に2を流し込む。
4 かぼちゃペーストをつくる。かぼちゃは一口大に切り、耐熱ボウルに入れてラップをする。600Wの電子レンジで、3~5分を目安にやわらかくなるまで加熱する。

竹串がすっと通るやわらかさになればOK
5 別のボウルに裏返した網をセットし、4をのせて木べらなどでつぶしながら漉す。

なめらかになるようしっかりと裏ごしして
6 プリン液をつくる。ボウルに卵、きび砂糖、5を入れて、泡立て器でよく混ぜる。
7 小鍋で牛乳、生クリームを入れて、60℃くらいまで温める。
8 7を6に注ぎ入れ、よく混ぜる。
9 8を網で漉し、3の型に流し入れる。
※型に流す前に30分ほど放置すると、アクが抜けます。
10 耐熱性のバットに9を置き、プリン液と同じくらいの高さまで湯せん焼き用の湯をそそぐ。アルミホイルをかぶせて、160度のオーブンで30分ほど湯せん焼きする。
※オーブンによって変わるので、様子を見ながら時間を調節してください。

同じ高さまで水を張ると焼きムラがない
11 焼き上がったら冷蔵庫で2~3時間ほど冷やして完成。

全体的に少し揺れるくらいが焼き上がりの合図
きれいに型から外すポイント
冷蔵庫で固めたプリンを、すっときれいに型から外すためのコツを紹介します。
STEP1
カラメルがゆるまるように、型の底を湯せんで10秒ほど温める。スプーンを使ってプリンの周囲を型から少しはがし、崩れない程度に型ごとくるくると回したり、横にやさしく振ったりして、型から外す準備をする。

スプーンでプリンのふちを軽く押しながら少しずつはがす

型をななめに持ってゆっくり回すと、徐々にはがれてくる
STEP2
型よりもひと回り大きなサイズの平皿をかぶせて、型と皿が離れないように気をつけながらひっくり返す。型を持ち上げて皿に出す。



〈料理/甘堂ふわ作 スタイリング/池 亜希子 撮影/星 亘〉
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甘堂ふわ作(かんどうふわさく)

東京・三鷹台にある小さなお菓子屋さん。オーナーは照井由利子さん、パティシエは照井昌子さんの、姉妹が営むお店。昌子さんは製菓学校で学んだあと、洋菓子店やカフェの仕事を経て、独立。マルシェやイベントなどでお菓子を販売するようになり、2019年にお姉さんの由利子さんとともに「甘堂ふわ作(かんどうふわさく)」を開店。スコーンやマフィンにプリン、そして、季節のケーキなど、素朴でやさしい味わいのお菓子にじわじわとファンが増え続け、いまではたくさんの常連さんが通う地元の人気店に。
インスタグラム@kfuwasaku
●住所:東京都三鷹市井の頭2丁目7-1
●OPEN :水・木・土・日曜/12:30~20:00(お菓子がなくなり次第、終了)