(『天然生活』2024年11月号掲載)
昔からの願いもかなえ、豊かな時間を過ごす日々
それから4年。引っ越してからつくり始めた庭には、いまではさまざまな花や野菜、ハーブが元気に育っています。
せりやみょうがなど、自生している植物も豊富です。それらを料理に使ったり、お茶にしたり。
「ここでは庭と台所が直結している」と山下さんは話します。

ハーブや野菜は、料理に飲み物にとさまざまに活用
また、自然の恵みを取り入れるのは食卓だけではありません。花やハーブのチンキを手づくりし、スキンケアなどにも活用中です。
「最近はメリッサ(レモンバーム)の小さな白い花だけを集めて黄金色のチンキに。すごくいい香りがして、幸せな気分になりました」
以前は賃貸住まいだったのが、いまは毎月の借地料を支払うだけ。食費などの生活費も減りました。
なにより大きいのは、日々の暮らしの充実ぶりです。
「海の近くに住みたいという昔からの願いをかなえられたし、子どもと離れてのひとり暮らしにも慣れました。友人と集ったり、音楽活動に思いきり力を注いだり、本当に豊かな毎日だと感じています」

スタイリスト時代に買ったアイアンの棚受け
身のまわりのものに感謝しながら、心からしたいと思うことをする。その積み重ねが、満ち足りた暮らしをつくるのかもしれません。
〈撮影/大森忠明 取材・文/嶌 陽子〉
山下りか(やました・りか)
雑誌『オリーブ』でスタイリストとして活躍した後、渡米。出産後、子育てを通じてシュタイナー教育に出合う。1997年の帰国後は、竪琴の一種であるライアーの奏者、手仕事作家として活動。著書に『季節の手づくり 夏と秋』『季節の手づくり 冬と春』(ともに精巧堂出版)がある。CD「septime stimmung」も販売中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです