(『天然生活』2024年11月号掲載)
DIYで修繕した古民家で自然の恵みとともに暮らす
鎌倉の小高い山の中腹、108段の石の階段を登りきった先にある小さな一軒家。築50年以上のこの家に山下りかさんが住み始めたのは4年前のことでした。
「ふたりの子どもが巣立ち、今後どんな暮らしをしようかと考えていたころです。自然の近くに住みたいと思っていたものの身の丈に合った物件はなく、故郷の高知に帰ることも考えていたとき、友人がこの家を紹介してくれました」

庭で元気に育ったハーブを摘む山下さん
当時はボロボロの状態。雨漏りがして、床も一部が抜けていました。
思わず尻込みしそうな物件ですが、「ずっと前から、自分の手で思いきり空間づくりをしてみたいと思っていた」という山下さんは、DIYで改修することに。
基礎の部分はプロに任せ、あとは友人たちの手を借りながらこつこつと手を入れていきました。壁塗り、建具のリメイク、一番大変だったというレンガの土間づくり……。
「私も、手伝ってくれた友人たちもみんな素人。だから壁に塗りムラがあったり、敷き詰めたレンガの一部がぼこっとしていたりと、仕上がりも完璧ではありません。でも見るたびにそのとき交わした会話まで思い出して、いっそう愛情が増すように。自分たちで家づくりをする喜びは、体験してみて初めて分かったことでした」

階段下の空間を生かした食器棚。建具も生かして

愛読書『フレンチカントリー』がイメージの源に
〈撮影/大森忠明 取材・文/嶌 陽子〉
山下りか(やました・りか)
雑誌『オリーブ』でスタイリストとして活躍した後、渡米。出産後、子育てを通じてシュタイナー教育に出合う。1997年の帰国後は、竪琴の一種であるライアーの奏者、手仕事作家として活動。著書に『季節の手づくり 夏と秋』『季節の手づくり 冬と春』(ともに精巧堂出版)がある。CD「septime stimmung」も販売中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです