介護歴13年のプロである現役の介護職員・のぶさんに学ぶ、“介護がラクになる”のコツ。介護する側の負担を軽減しながら、家族も本人も快適に暮らせるアイデアを紹介します。今回は「便利な介護グッズ」について。いままさに介護に向き合っている方やこれから介護を始める方への、ヒントとアドバイスをお届けします。
(『読むだけで介護がラクになる本』より)
「丸腰」介護は専門職でもきつい
介護は体力も気力も使います。そんな毎日を少しでもラクにするために、便利なグッズを上手に使うことが大切です。
今では、ちょっとした工夫で介護の負担を軽くできるアイテムが、たくさん登場しています。
在宅介護をされているご家族は、「丸腰」介護をされている方がとても多いと感じています。
初めての介護で知識や経験が不足していることもありますが、とくに「便利な道具を使っていない」という点で損。
たとえば、オムツ交換を素手で行い、「手に便がついたらどうしよう……」と毎回オムツ交換のたびに強いストレスを感じていたり。着替えにくい、かぶりの上着を一生懸命着てもらおうと無理していたり……。
介護の現場で10年以上経験がある介護士でも、道具がそろっていないと、思うようにはいきません。素手でのオムツ交換はかなり気を使いますし、強い拘縮(関節の動きにくさ)のある方に、かぶりの上着を着ていただくのは本当に難しいです。倍以上の時間がかかってしまうかもしれません。
けれども、介護施設では、道具や環境がしっかりと整備されています。
たとえばオムツ交換の場面では、使い放題のディスポ手袋(使い捨て手袋)や、陰部を拭くための清拭タオルなどがあります。大量の便失禁でも、大判の清拭タオルがあれば一気に拭きとれます。市販のおしり拭きでは、なかなかそうはいきません。
洋服についても、前開きのシャツやカーディガン、ウエストがゴムのズボンなどは着脱がしやすいです。

脱ぎ着しやすい洋服
伸縮性のある素材やゆったりとしたデザインの服だと、着替えの時間が短縮されるだけでなく、利用者さんも快適に過ごせます。こうしたことをご家族にお伝えして、ご用意いただくこともあります。
介護職員が「専門職だから」介護をラクにできるわけではなく、環境自体が「介護しやすい」ようになっているのです。
本記事は『読むだけで介護がラクになる本』(すばる舎)からの抜粋です
〈イラスト/北野有〉
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介護はもっとラクをしていい
介護をしている方。がんばりすぎていませんか。特別養護老人ホームの生活相談員として日々出会う、在宅介護を担うご家族。みなさん本当にがんばっています。でも、自分を犠牲にして無理をするのは絶対にだめ!自分自身を大切に。もっとラクをしていいのです。毎日の介護の負担をぐっと減らすスキルがあります。支えになる介護サービスがたくさん揃っています。老人ホーム入所を選ぶのは決して悪いことではありません――。
Xで介護のコツを発信し、フォロワー3.7万人。同業者だけでなく、家族介護をする人たちからも支持されるのぶさん。介護現場での心温まるエピソードもまじえながら、「読むだけで心がラクになる」メッセージを伝えます。思いやりあふれる励ましの言葉に、感謝の声続々。もちろん実践的なアドバイスも満載。
のぶ
新潟県在住。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員。大学在学中、父の介護を経験したことをきっかけに、介護の世界を志す。大学を卒業後、特別養護老人ホームに就職。初はショートステイの介護職員として働く。現在も現場に出る日々が続くが、介護職員としても管理者としても利用者さんを幸せにする介護を追求。2021年からX(旧Twitter)で、「介護現場のリアル」や「ちょっと肩の荷がおりる」つぶやきを発信している。「ちょっと肩の荷がおりる」つぶやきを発信している。介護士や家族介護をする人の共感を集め、フォロワー3.8万人。3児の父。
X:@nobu_fukushi