介護歴13年のプロである現役の介護職員・のぶさんに学ぶ、“介護がラクになる”のコツ。介護する側の負担を軽減しながら、家族も本人も快適に暮らせるアイデアを紹介します。今回は食事介助がスムーズになる食器選びについて。いままさに介護に向き合っている方やこれから介護を始める方への、ヒントとアドバイスをお届けします。
(『読むだけで介護がラクになる本』より)
「色付きの茶碗」でご飯を残さないように
食事介助は介護の中でも、毎日欠かせない、時間のかかる介護のひとつです。
介護する側の負担を減らしながら、ご本人が快適に食事できる環境を整えたいところ。適切な方法や道具を取り入れるだけで、驚くほどラクになることがあります。
まず、食器選びについてです。使いやすい食器を選ぶことで、食事介助の負担を大きく減らせます。
軽くて握りやすい素材の食器は、高齢者や手の力が弱い方に最適です。
また、スープカップやマグカップは、持ちやすい大きめの取っ手が付いているものを選ぶと、「食べこぼしがほとんどなくなった!」と、意外に効果がある場合があります。
介護用の食器を選ぶ

左:底がすくいやすくなっている皿/右:取っ手のついたコップ
認知症の方や視力が弱い方には、食べ物とのコントラストがはっきりした色の食器がおすすめです。
たとえば、白いお皿よりも青や赤など濃い色のお皿を使うと、食べ物がどこにあるのかわかりやすくなります。
なぜかいつもご飯だけを残す方のお茶碗を、お正月に使うような金の茶碗に変えたら、残さず食べるようになったことがありました。
茶碗が白いとご飯が見えない?

ここまで、機能について書いてきました。しかし、機能性だけに注目するのではなく、ご本人が長年使い慣れた愛着のある食器を使うのも大切です。
なじみのあるものには安心感があり、食事への意欲を引き出すこともできます。新しい食器を用意する場合でも、可能な限りご本人の好みを聞きながら選ぶのが理想です。
こうした工夫を積み重ねることで、介護する人・される人どちらにとっても負担が軽くなり、食事の時間が楽しいものになります。
食事介助は毎日のことだからこそ、ちょっとした工夫から大きなラク! を実感できるはずです。
本記事は『読むだけで介護がラクになる本』(すばる舎)からの抜粋です
〈イラスト/北野有〉
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介護はもっとラクをしていい
介護をしている方。がんばりすぎていませんか。特別養護老人ホームの生活相談員として日々出会う、在宅介護を担うご家族。みなさん本当にがんばっています。でも、自分を犠牲にして無理をするのは絶対にだめ!自分自身を大切に。もっとラクをしていいのです。毎日の介護の負担をぐっと減らすスキルがあります。支えになる介護サービスがたくさん揃っています。老人ホーム入所を選ぶのは決して悪いことではありません――。
Xで介護のコツを発信し、フォロワー3.7万人。同業者だけでなく、家族介護をする人たちからも支持されるのぶさん。介護現場での心温まるエピソードもまじえながら、「読むだけで心がラクになる」メッセージを伝えます。思いやりあふれる励ましの言葉に、感謝の声続々。もちろん実践的なアドバイスも満載。
のぶ
新潟県在住。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員。大学在学中、父の介護を経験したことをきっかけに、介護の世界を志す。大学を卒業後、特別養護老人ホームに就職。初はショートステイの介護職員として働く。現在も現場に出る日々が続くが、介護職員としても管理者としても利用者さんを幸せにする介護を追求。2021年からX(旧Twitter)で、「介護現場のリアル」や「ちょっと肩の荷がおりる」つぶやきを発信している。「ちょっと肩の荷がおりる」つぶやきを発信している。介護士や家族介護をする人の共感を集め、フォロワー3.8万人。3児の父。
X:@nobu_fukushi