(『天然生活』2023年9月号掲載)
木村綾子さんの大好きな本4選

1行目から片岡ワールドに
『この冬の私はあの蜜柑だ』

片岡義男 著/講談社(絶版、電子版あり)
街で出会い、別れてゆく男女の姿を精緻な文章で描く短編集。
「唯一無二の表現、目がカメラとなって情景を写すような描写が片岡作品の魅力。1行読んだだけで彼の世界に入っていき、現実を忘れるような感覚になります」
人気洋菓子店の魅力にせまる
『銀座ウエストのひみつ』

木村衣有子 著/京阪神エルマガジン社
銀座で70年以上続く老舗洋菓子店の工場や喫茶室をていねいに取材。
「だれもが知るリーフパイなどの人気のお菓子がどんな工夫を重ねていまの愛される味になったのかを知って、食べる際もいっそうありがたくなりました」
食べると生きるはつながっている
『料理と毎日 12か月のキッチンメモ』

今井真実 著/CCCメディアハウス
料理家である著者が日々の献立や暮らしを綴った一冊。
「『風邪ひきさんのための肉団子スープ』など、料理名も楽しくて。生活から献立が生まれていく様子を読むと、食べることと生きることはつながっていると実感します」
文章とアートの両方を堪能
『たのしい暮しの断片』

金井美恵子 文、金井久美子 絵/平凡社(品切れ、電子版あり)
日常のなかの「気持ちのよいこと」を少しの辛口とユーモアを交えた文章で描くエッセイ集。
「“ていねいな暮らし”の意味を改めて考えさせられる一冊。文章に添えられた、画家である姉の久美子さんの作品も素晴らしいです」
〈撮影/近藤沙菜 取材・文/嶌 陽子〉
木村綾子(きむら・あやこ)
オンライン書店「コトゴトブックス」店主。大学院卒業後、タレント活動や下北沢の本屋「B&B」や「蔦屋書店」などのスタッフを経て2021年、みずから選んだ本を作家とともに企画した特典を添えて届けるオンライン書店「コトゴトブックス」を開始。そのほか選書、執筆、企画などの活動も行っている。
https://cotogotobooks.stores.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



