• 世界を未来につなぐ、サステイナブルな実践を見つける旅にでかけた長田佳子さん。北欧の暮らしに根付くサステイナブルな取り組みと、旅を通して感じたことを聞きました。
    (『天然生活』2024年12月号掲載)

    立ち止まり、見渡して日々を生きること

    デンマークのコペンハーゲン市と、スウェーデンのマルメ市にそれぞれ1週間滞在した、3度目の北欧への旅。

    なぜ私は、こんなにも彼の地へ行きたくなるのかを確かめたくて、今回はただそこに暮らすように、ゆっくりと時間を過ごしてみることにしました。

    ただひとつ、たしかにわかっている北欧の心地よさの理由、それはサステイナビリティ(持続可能性)のための取り組みが暮らしのあちこちに根付き、息づいていることです。

    画像: スウェーデン・マルメ市のバスは、燃料にバナナの皮やコーヒーかすなどの食料廃棄物を

    スウェーデン・マルメ市のバスは、燃料にバナナの皮やコーヒーかすなどの食料廃棄物を

    持続可能な社会をつくるためのアイデアは、デンマークでもスウェーデンでも、あえて探さずともすぐに出合うことができました。

    たとえば、スーパーマーケットでは日本のように陳列に手間をかけず、箱ごと積み上げられているものから自分で取り出すスタイルも少なくありません。

    野菜や果物はもちろん個包装はなく、よく吟味してから手を伸ばします。

    たとえ少々傷んでいても、香りや本来の色がきちんと伝わり、料理のイメージも膨らむ、市場のような買い物の喜びがあります。

    私たちが「こうでなくては」と思っているサービスも、変えてみると別の利点が見つかりそうです。

    画像: 立ち止まり、見渡して日々を生きること

    また、友人の暮らすマンションのごみ収集スペースでは、分別のルールが子どもにもわかりやすくピクトグラムを用いて示されていたのも印象的です。

    実際に分別するのは大人だったとしても、日々どのようなメッセージを受け取って成長するかは、子どものその後の選択に大きく影響するでしょう。

    気候変動や環境汚染など、人々が抱える課題は世界共通のもの。けれど、国ごとにその対応に違いがあるのはなぜでしょう。

    そんな話を友人にしてみたところ、「北欧の人々は、かつて『オイルショック』が起きた1970年代に立ち止まり、社会の発展や経済への考え方を見つめ直し方向転換をした」のだと教えてくれました。

    その転換は、日々のお茶の時間や、はじめて会った人との会食などでも気軽に政治の話題を語り合う、彼らの豊かな対話の文化から生まれたものだろうということも。

    はじめは食べものの視点で出向いた北欧に、いま学びたいことがたくさんあります。

    きっとこれから、何度も行くことになると確信しています。

    『別冊天然生活 はじめての、やさしいお菓子』(長田佳子・著/扶桑社・刊)

    画像: 北欧の“心地よさ”を支える「サステナブル」な暮らしを訪ねて。菓子研究家・長田佳子さんのサステナビリティへのまなざし

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    〈撮影/長田佳子 構成・文/玉木美企子〉

    長田佳子(おさだ・かこ)
    菓子研究家。ハーブやスパイスを用いた滋味あふれる菓子レシピに定評。2021年からは山梨県にてラボ「SALT and CAKE」を主宰している。著書『はじめての、やさしいお菓子』(扶桑社)が好評発売中。 https://foodremedies.jp

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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