(『天然生活』2024年12月号掲載)
「何もなさを死守」する部屋に
「家のなかに『聖域』をつくりましょう」。これは、整理収納アドバイザーとして、片づけの工夫を発信している青木美詠子さんが使う印象的なフレーズです。この場所だけはものに占拠されない、すっきりとした空間を保とうと、「何もなさを死守」する部屋のことです。
「人は平らな場所があると、どうしてもものを置いてしまう習性があるようです。棚があると、ついものを入れてしまうし……」。だからこそ、家を建てた際には、棚は最小限にしました。棚以外にはものを置かない、そこが青木さんの家の「聖域」です。
「リビングを聖域にしてしまえば、ほかの部屋が多少ごちゃついていたとしても、ここにくればほっとします。ものが少ないから掃除もすごく楽ですし」

リビングにあるワゴン。下段は新聞置き場。上段には市報など。重要な紙類はここに置かない
「聖域」はほかにもあり、玄関もそのひとつ。家の顔ともいえる玄関にも「ほぼ何も置かない」を徹底しています。たとえば鍵。玄関に置いているお宅が多いと思いますが、青木さんは「玄関じゃない場所に置いてもいいのでは?」と考え、リビングの棚に移動させました。また、普通の玄関には必ずといっていいほどある傘立てもここにはありません。
「濡れた傘はすぐ玄関や風呂で広げて乾かし、翌日たたんでしまうので、わが家に傘立ては不要だと気づいたのです(たまの来客用は物置きに)。傘立てがあれば、それを乾かしたり、カビを気にしたり、手間も増えますよね。たたきに何もなくフラットな状態だと、ウエスでさっとふけて、断然スムーズなんですよね」
掃除しやすいといえば、家の照明。天井埋め込み型のLEDがほとんどで、ほこりがたまりやすいペンダントタイプはリビングにひとつだけにしました。
「階段や壁付も、四角くてほこりが入らないタイプにしています」
家づくりの際に「住みやすさ」を考えたら、「すっきりが保ちやすい家」にたどりついた青木さん。そしてそれは、掃除の手間が少ないインテリアにつながっています。
「ものは少ないほど掃除は楽ですが、家全部にそれは無理。だからこそ、ものを置かない聖域を決めて、メリハリをつくりましょう」

少しだけ飾るところを、とリビングルームに棚をつくった。友人の川原真由美さんの絵や、庭で摘んだ花などを飾っている
〈撮影/近藤沙菜 取材・文/鈴木麻子〉
青木美詠子(あおき・みえこ)
文筆家。著書に『あおきみさんち、家を買う。』(マイナビ出版)など。長年実践する「冷えとり」に関する著書も。整理収納アドバイザーの資格をもち、個人へのお片づけサービスも行う。整理収納の会、冷えとりの会、人見知りの会など、不定期に自宅セミナーを開催。
インスタグラム@aokimieko1616
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
 
				
				


 
							 
							 
							 
							