• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。抜け毛の季節がやってきました。

    秋の訪れとともにやってくるあの季節

    季節がひと息つくように、風がやわらかくなってきました。

    人が秋服を楽しむこの時期は猫たちも衣替え。そう抜け毛のシーズンです。

    我が家のリビングにも、ふわり、ふわり、と小さな秋が舞い降りてきます。

    大きな音が苦手な子たちのために、我が家の掃除機かけは週に一度。その間は、どうしても猫の毛で家がまっくろくろすけの隠れ家になります。

    白いソファには黒い猫のぬくもりが残り、あっという間に灰色ソファに早変わり。

    とはいえ、そんなことはおかまいなしに、毎日「なでなで」をねだってくるのが猫たち。

    16歳のウンは、いつも撫でられるタイミングを見計らって、いそいそとそばに寄ってきます。指先で撫でると、細い体からは信じられないほど、ぽっさぽっさと毛がほどけ、その軽さに年月の深さを感じます。

    反面、まだ3歳のヨナは、ふくふくの体でお尻を突きだし、ゴシゴシと強く撫でられるのが大好き(通称ざぶとん)。そんなにも毛をすいているのに、若さのせいか抜け毛がほとんどないことに驚きます。

    画像: おしりを上げて、「なでて!」の「ヨナ」

    おしりを上げて、「なでて!」の「ヨナ」

    同じ季節の中にいても、それぞれの秋を生きているんだなあ、と毛の一本一本さえ愛おしく思うのです。

    10匹の猫との暮らし。抜け毛対策

    そんなふうに猫との暮らしは抜け毛との共存

    そして猫を驚かさない工夫の連続。

    そこで、我が家では大掛かりな掃除と掃除の合間に、「プチお掃除」をしています。

    プチお掃除のススメ

    コストは安く、簡単に、をお伝えします。

    ・ソファやベッドはエチケットブラシを利用

    粘着カーペットクリーナーは消耗品なうえに、意外とがんこな毛が取れなかったりします。

    そんなときは、100円ショップの安いエチケットブラシが大活躍。大きめのものを小刻みに動かすと毛がしっかり取れます。

    画像: ごっそり毛が取れる大ぶりのエチケットブラシ、100円

    ごっそり毛が取れる大ぶりのエチケットブラシ、100円

    ・フローリングはドライシートで毛を集める

    掃除機ができない日は、それだけでも抜け毛が取れますし、掃除機前にさっと撫でると、毛が絡まらず一気に吸い込めます。

    静電気の力で広がり防止にも効果的。

    ・洗濯物は洗う前にタオルトントン

    洗濯前に衣類を軽く乾いたタオルで叩くと、洗っている間に他の衣類に毛が移って全部が真っ黒!なんて心配が減ります。

    ほわんほわんと毛の舞う部屋に座りながら思います。

    抜け毛は、消えていくものではなく、みんなが確かにここにいたという命の証。

    そのうち、あっという間に冬がくるでしょう。

    年の瀬を迎えるばたばたの前のほんのわずかな優しい季節を、噛みしめるように一本一本、毛を集める日々なのです。

    画像: ベッドでプロレス。毛だらけです……

    ベッドでプロレス。毛だらけです……

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    画像: プチお掃除のススメ

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

    ブログ「ちいさなチカラ」



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