(『天然生活』2024年12月号掲載)
心と体の滋養を蓄える
「冬に冷えを感じやすい人は、体の内と外から積極的に温めることも大切です」と話すのは薬膳料理研究家の小鮒ちふみさんです。
辛味のある食材を薬味として使ったり、冬野菜をとったり、厚着や湯たんぽなどを活用することが助けになります。
「エネルギーを使いすぎないようにゆったりと過ごしつつ、体をなるべく動かし、内・外から冷え対策して養生を。冬は消化力が夏より高まりますから、クリスマスやお正月にはごちそうを楽しみ、次の季節に花を咲かせるための滋養を補いましょう」

雄猫のももちゃんは、人懐こく、小鮒家のアイドル的存在。冬は猫を見習って、たっぷり眠り、のんびり気ままに過ごしたい
湯たんぽをフル活用
冬の事務仕事中、なくてはならない相棒が、湯たんぽ。

冷えに効く三陰交のツボ(内くるぶしから指4本上、すねの内側)を温めて
「座り仕事をしていると、下半身が冷えるんですよね。関節が固まり、立つときに膝や腰に負担もかかりますし、常に温めるようにしています」

できれば昔ながらのお湯を入れて使うタイプがおすすめですが、電子レンジで加熱するものや、電気毛布、使い捨てカイロなどでも。

湯たんぽの素材はいろいろあるが、ポリ塩化ビニルやシリコーンゴムなどやわらかい素材が使いやすい
心身ともに滋養を蓄える
中医学では、冬は春夏に向けてエネルギーをためる時季。積極的に動くより、静かな時間を過ごして充電します。

実用書より自分の内側を旅するような本を読み、心に必要なものを補う
「体に栄養を蓄えるのはもちろん、心に滋養を与え、知識を得るようなことをして自分の内側を満たすといいですね。私は本を読んだり、ゆっくり考えをめぐらせたりし、時がきたらぱっと動き出せるように備えています」

愛用の手帳と5年連用日記には、振り返りや自己分析、思いついたことをメモ。暖かくなったら行動に移す
冬野菜をとる
旬の野菜はそのときの体に必要な栄養素をたっぷり含むので、冬は冬野菜を積極的にとりたいもの。

根菜類や、中医学で冬に属する黒い食材をシンプルな調理法でいただく
「夏野菜が気を発散させたり、利尿作用で代謝をよくしたりする一方で、冬野菜は夏に失った気・血を補ってくれます。にんじんなど体を温める根菜類と、滋養強壮に優れた黒豆や黒きくらげなどの黒い食材はとくにおすすめ」
<撮影/千葉亜津子 取材・文/嶌 陽子>
小鮒ちふみ(こぶな・ちふみ)
台所養生共室主宰。国際中医薬膳師・医学気功整体師。20代で進行性の胃がんを経て、心のあり方や食生活が体に及ぼす影響に気づき、養生法を学び実践。東日本大震災を機に農業の道へ。小鮒農園の台所担当として農食一体を軸に、自治体向け産前産後養生事業やメディアへのレシピ提供、風土と私たちの命になじむ養生法を伝えている。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




