• 急な冷え込みや慌ただしさで、つい体調をくずしがちな冬。漢方家の櫻井大典さんに、冬を元気に過ごすためのおすすめの食材と食べ方を教わりました。四千年以上も昔から人々の健康を支え、伝えられてきた中医学。先人たちが紡いだ知恵から、寒い冬を乗り切るヒントを学びましょう。
    (『天然生活』2024年12月号掲載)

    「寒い冬」によい食材と食べ方

    01 体を温める食材を加熱していただく

    画像: 01 体を温める食材を加熱していただく

    「鶏肉やラム、えびやあじは、体を温める性質を持ちます。くるみや玉ねぎ、菜の花もそうですね。体の内側、つまり内臓を温める食材には、さけ、にら、唐辛子などが該当。薬味として重宝する、ねぎやしょうが、青じそ、三つ葉、パクチーには寒気を発散させる効果があり、これらも寒い冬に摂りたい食材です」

    食べるときのポイントとしては、加熱して温かい状態で食べること。「生の状態で食べると、消化に負担がかかります。加熱調理してから食べることで、体のエネルギーをむだに消費することなく、栄養を補給できるわけです」

    02 滋養強壮を意識した食材も取り入れて

    画像: 02 滋養強壮を意識した食材も取り入れて

    厳しい寒さに対応するために、意外と冬は「代謝が激しい」と櫻井さん。

    「冬はおなかも空きやすいですよね。体内で燃料をどんどん燃やすイメージで、冷えに負けないよう、大量のエネルギーを消費しています。だからその分、補給が必要。米やもち米、長いもにじゃがいも、キャベツ、しいたけ、栗は、エネルギー補給におすすめです。

    中国では滋養強壮によい黒豆を冬によく食べますから、黒豆茶を飲むのもいいでしょう。落花生やクコの実、松の実もおすすめ。基本的に脂分は控えることを推奨していますが、冬は適度に必要。肉類もぜひ食べて」

    03 冷たいものは避けるか、帳尻合わせを

    画像: 03 冷たいものは避けるか、帳尻合わせを

    「どんなに冷たいものを食べても、おしっこやうんちは温かいですよね。人間の胃腸内は37.5〜38℃に保たれており、その温度以下のものを体に入れれば、37.5〜38℃に戻すために体内の熱エネルギーを余計に使うことになります」

    アイスやビール、生野菜やお寿司も、控えるのがベスト。でも、食べたいときだって。そんなときは……? 「熱いお茶や汁ものを飲む、お寿司のときはガリも食べるなど、冷やして終わらせないことが大事です。ビールには、胃を温める作用を持つ黒こしょうをガリガリとひいて飲む、裏技も。意外とおいしいんですよ」

    04 よくかむこと、食べすぎないこと

    画像: 04 よくかむこと、食べすぎないこと

    冬に限らず、漢方の食養生の基本は、よくかんで、食べすぎないこと。

    「消化というのは、想像以上にエネルギーを消費する作業です。冬はエネルギーを大量に消費するといいましたが、その補給だといって必要以上の量を食べれば、消化に負担がかかり、かえってむだに体内のエネルギーが消費されるという矛盾したことに。

    たくさん食べればいいということではなく、食材の性質を選んで食べることが大事。腹八分を目安に、よくかむことで消化を助けて、体に負担をかけることなく、しっかりエネルギーを補給しましょう」



    〈監修/櫻井大典 取材・文/遊馬里江 イラスト/はしもとゆか〉

    櫻井大典(さくらい・だいすけ)
    漢方コンサルタント、国際中医相談員、日本中医薬研究会会員。中医学の知恵を、現代に取り入れやすいようにかみ砕いで発信した、SNSのユニークな投稿が人気に。電話、Skypeで漢方相談にのる日々を送る。著書に『こころゆるませ漢方養生』(扶桑社)など。
    HPhttps://yurukampo.jp/
    X@PandaKanpo

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



    This article is a sponsored article by
    ''.