(『天然生活』2021年9月号掲載)
人と人がつながる台所(インドネシア・スラウェシ島)

近所の人や宿泊中のゲストも自由に台所に出入りし、料理する。「野菜を切ったり一緒に手を動かしていると、言葉を交わさなくてもコミュニケーションがとれるんです」
調理道具が変われば台所のあり方も変わると、岡根谷さん。たとえば日本で必須のまな板は世界では使わない地域も多く、インドネシアもそのひとつです。
スラウェシ島の村では大勢で車座になり、手持ちで野菜を切ったり下ごしらえをする光景が日常だったといいます。
「興味深いのは、ゲストも料理することです。簡単な作業でも輪になってお互いの顔を見ながら一緒にやると、お呼ばれして食事するだけでは得られない深いつながりが自然に生まれます。
日本だとよその家の台所に入るのは失礼という感覚がありますが、人と交流できるオープンな台所はなんだかほっとするのです」
〈撮影/岡根谷実里 取材・文/熊坂麻美〉

岡根谷実里(おかねや・みさと)
1989年生まれ。東京大学で土木工学を学び国際協力を志すなかで「人を笑顔にする料理の力」を知り、現在の道に。世界中の家庭を訪れて一緒に料理をし、そこから見えた暮らしや社会の様子を発信している。全国の小中高校への出張授業も精力的に行う。近著に「世界のお弁当とソトごはん」(三才ブックス)、「世界ひと皿紀行 料理が映す24の物語」(山と溪谷社)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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