世界の台所探検家・岡根谷実里さんが出合った各地の台所の風景を紹介します。ブルガリアの台所では、保存食づくりを一緒に体験してきた岡根谷さん。おいしくするために母と娘はずっとケンカをしていたそう。台所は料理をするだけでなく、絆が深まる場所なのです。
（『天然生活』2021年9月号掲載）
（『天然生活』2021年9月号掲載）
人と人がつながる台所（ブルガリア）
ブルガリアで出会った親子の台所も印象的でした。一緒につくったのは、ブルガリアに伝わる保存食のリュテニツァ。
大量の赤パプリカを真っ黒に焼くことから始まり、作業は2日間に及んだ
「そのお母さんと娘さんはレシピのことでずっとケンカしていて。でもそれは『おいしいリュテニツァをつくりたい』という思いがあるからです。
家族が愛する味をつくるために本気でぶつかりあって、また絆が深まっていく。台所って、たんに調理するだけの場じゃないとここでも感じました」
赤パプリカとトマトをベースにしたリュテニツァはパンなどにつけて。甘くて美味
〈撮影／岡根谷実里 取材・文／熊坂麻美〉
岡根谷実里（おかねや・みさと）
1989年生まれ。東京大学で土木工学を学び国際協力を志すなかで「人を笑顔にする料理の力」を知り、現在の道に。世界中の家庭を訪れて一緒に料理をし、そこから見えた暮らしや社会の様子を発信している。全国の小中高校への出張授業も精力的に行う。近著に「世界のお弁当とソトごはん」（三才ブックス）、「世界ひと皿紀行 料理が映す24の物語」（山と溪谷社）など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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