• 世界の台所探検家・岡根谷実里さんが出合った各地の台所の風景を紹介します。社会主義国のキューバでは食料は配給制のため、豆のスープとごはんが食卓の定番。毎日同じものをつくるからこそ、家電を駆使して効率よく調理をしているそう。そして毎日同じ食事でも家族は喜んで食べているそう。あるものを最大限楽しむ姿勢もまた合理的だと考えさせられる台所です。
    (『天然生活』2021年9月号掲載)

    家電を使った合理的な台所(キューバ)

    画像: 首都ハバナで暮らすマリリンさんの台所はコンロが4口あり、とても充実していました。「彼女は料理している手ごたえを感じたいという理由から、火にかける圧力鍋でフリホーレスをつくっていました」

    首都ハバナで暮らすマリリンさんの台所はコンロが4口あり、とても充実していました。「彼女は料理している手ごたえを感じたいという理由から、火にかける圧力鍋でフリホーレスをつくっていました」

    社会主義国のキューバの食料事情は配給制。米や黒いんげん豆、油などが配給され、野菜や生鮮品は市場やスーパーに並ぶものの、品ぞろえは豊富ではなく、必要な食材がいつでも手に入るわけではありません。ところが、そんな限られた食料事情とは対照的に、普及しているものがあります。それが調理家電です。

    画像: 繰り返し作業は潔く炊飯器と電気圧力鍋に頼る

    繰り返し作業は潔く炊飯器と電気圧力鍋に頼る

    「キューバでは黒いんげん豆を煮たスープ『フリホーレス』とごはんが食卓の定番。ほぼ毎日米を炊いて豆を煮るので、炊飯器や電気圧力鍋が多くの家庭で使われていました。食材が限定されるのは仕方ないけれど、日々の食事づくりで単純な繰り返し作業をラクにしようとする家電の普及は、合理的でとても面白いと感じました」

    訪れた家庭では、毎日フリホーレスが出されても、家族は喜んで食べ、好きな食べ物を尋ねると「フリホーレス」と答えたと言います。

    「ごはんにスープをかけてよくかき混ぜて食べたり、豆だけ先に食べたりと、みんな自由な食べ方をして、飽きる様子はまったくありませんでした。あるものを最大限楽しむという姿勢は、これもまた合理性であり、尊敬すべきものだと感じました」

    画像: フリホーレスはごはんと一緒に盛りつけるのが基本。塩味ベースににんにくやハーブが効いてごはんが進むそう

    フリホーレスはごはんと一緒に盛りつけるのが基本。塩味ベースににんにくやハーブが効いてごはんが進むそう


    〈撮影/岡根谷実里 取材・文/熊坂麻美〉

    画像: 家電を使った合理的な台所(キューバ)

    岡根谷実里(おかねや・みさと)
    1989年生まれ。東京大学で土木工学を学び国際協力を志すなかで「人を笑顔にする料理の力」を知り、現在の道に。世界中の家庭を訪れて一緒に料理をし、そこから見えた暮らしや社会の様子を発信している。全国の小中高校への出張授業も精力的に行う。近著に「世界のお弁当とソトごはん」(三才ブックス)、「世界ひと皿紀行 料理が映す24の物語」(山と溪谷社)など。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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