暖かいところに集まる猫たち
冬になると、家の中に小さな“陽だまりの地図”ができます。
窓辺のラグの上、ベッドの端、ソファの影――猫たちは、それをいちばんよく知っている生きものです。
昼のあいだ、2階の寝室(通称「子ども部屋」)はあたたかい……。電気毛布を敷いたベッドは、猫たちにとって格別の場所。2年前に家族入りした天真爛漫な子猫三兄弟はもちろんのこと、引っ込み思案の長老「ウン」も、ほかの猫と距離がある「ちみ~」さえも、順番ではなく、なぜか毎日ほとんど同じ位置に落ち着きます。
陽が射す角度が少し変わると、寝返りをうつように、みんなで少しずつ移動していく……。
その静かな動きが、部屋の中の空気をゆるやかに揺らしていきます。

お日さまに勝る暖房なし
そして夕方。陽が傾くころになると、猫たちはぞろぞろと階段を降りていきます。まるで小さな行進のように。
向かう先は、1階のリビング。ほかほかのエアコンの風と床暖房のぬくもり。広がるやわらかな熱を感じながら、一匹、また一匹と、ソファの下にもぐりこんでいきます。
その姿を見ていると、「猫たちは、ちゃんと季節を知っているんだな」と思います。
陽の場所を、温度の流れを、まるで風のように感じ取りながら生きている。

電気毛布と猫ベッドの間に潜ります
猫を見て冬の深まりを知る
私たちは時計やカレンダーで季節を知りますが、猫たちは“からだ”で冬を読み取っているのかもしれません。
その自然な動きに寄り添うように、部屋の中に陽の入り方を工夫するのが、冬の楽しみになりました。
猫が動くたび、冬が少し深まります。
そのたびに、暮らしの中の“あたたかさ”もまた、少し増える気がするのです。

ベッドの上では誰もが仲良し
猫と過ごす、あたたかな冬の工夫
それでは、我が家でやっている「猫と過ごす、あたたかな冬の工夫」をお伝えします。
・陽の入り方を観察する
猫がよく集まる場所を見つけたら、毛布やクッションを置いて“猫の指定席”に。
・昼と夜で居場所を変えられるように
日中は陽の当たる2階、夜は床暖房のある1階――など。猫が自分で“移動できる選択肢”をつくることが安心につながります。
・ブランケットやシーツは厚すぎないものを
床暖房や電気毛布の上に薄いフリースを重ねると、猫の毛にも優しく、ぬくもりが長持ち。
・ソファ下やテーブル下などは“隠れ家”として尊重を
潜り込める高さを保ち、周囲にコードなどを置かないようにすると安全です。
・陽だまりの空気を一緒に吸う
昼下がり、猫のそばでお茶を飲む。それだけで、冬の日はやわらかく満ちていきます。
陽のある場所を猫たちが選び、その後ろ姿を見て、私たちは“冬の暮らし方”を教わる。
陽の動きに合わせて猫が移動し、猫の動きに合わせて、私の心も少しずつほぐれていく。
冬の午後、あたたかい部屋の片隅で、そんな時間を一緒に過ごせることが、猫と家で暮らせる私たちのいちばんのご褒美なのかもしれませんね。

ふかふかが大好きなちみ〜
◇ ◇◇ ◇◇

咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」

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