• 読者の皆さんからお寄せいただいた「猫ちゃんとのしあわせ時間」を紹介する、web版『天然ねこ生活』のコーナー。今回は、飼い主でイラストレーターの山中玲奈さんと、ムギくん(13歳)の物語です。甘えん坊だけど塩対応、低音ボイスで怒る日もあれば、玄関までお迎えに来る日も。ちょっと人間っぽいムギとの毎日を綴ってもらいました。

    13歳のムギと暮らす、私たち3人の“チーム”の話

    うちの猫・ムギは、今年で13歳になります。

    出会いは、猫好きの友人の家で生まれた子猫を見に行った日のことでした。

    友人の家には、お父さん猫とお母さん猫、そして生まれたばかりの子猫たちがいて、みんな元気いっぱい。

    お父さんは大きくて甘えん坊の茶トラで、お母さんは美人で、少しツンとしたタイプです。

    その中に、お父さんと同じ柄をした茶色い毛の子が一匹いて、それがムギでした。

    きょうだいたちがずんずん歩き回る中で、ムギだけが一番“ふにゃふにゃ”していて、なんだか放っておけなかったんです。

    お父さん猫もお母さん猫も小さい頃から知っているせいか、雑種なのに、どこか血統を感じさせる雰囲気があります。

    ムギを迎えたことで、友人とも親戚になったようで、不思議な安心感がありました。

    ムギは、ちょっと“人間っぽい”

    ムギはとても手がかからない子です。

    壁をガリガリすることもないし、身の回りのことはきちんと自分でやる。

    でも、ちょっとからかうと微妙にやらかすし、鈍臭そうに見えて、実は地獄耳。

    画像: ムギは、ちょっと“人間っぽい”

    「あれ、聞こえてた?」

    猫というより、どこか人間みたいな猫なんです。

    ムギは今日も、ムギらしい

    ムギは抱っこも膝に乗るのも苦手。

    暑がりなのか、布団には乗るけれど潜りません。

    私が帰宅すると玄関までお迎えに来て、床に転がってお腹を見せてくれます。

    夫には塩対応で、お迎えには行かないけれど、帰ってきたのを横目で確認します......(笑)

    そして、何よりもごはんの時間がだいすき。

    お皿にごはんが完全になくなるのが怖いらしく、必ず2粒くらい残すのもムギのこだわり。

    低音ボイスで怒るときの迫力はなかなかですが、それもムギらしさです。

    画像: ムギは今日も、ムギらしい

    11歳の夏、糖尿病がわかった

    画像1: 11歳の夏、糖尿病がわかった

    2023年6月、ムギが11歳のときでした。

    急に水をがぶがぶ飲むようになり、おしっこの量も増え、顔つきもどこかぐったりして見えました。
    後ろ足が下がったように見えてしまうこともあり、すぐに病院へ。

    診断は、想像もしていなかった「糖尿病」でした。

    心配で、悲しくて、どうにか治ってほしい一心で、病気のことをネットでたくさん調べました。

    でも、調べれば調べるほど目に入ってくるのは、不安になるような情報ばかりで、気持ちはネガティブになる一方。

    治療はすぐに始まりました。

    インスリン注射と、「リブレ」という血糖測定用のパッチを体に装着して、毎日数値を確認する生活です。

    人間と同じ治療法です。

    画像: リブレを装着したムギ

    リブレを装着したムギ

    リブレを装着したムギに、スマホをかざして血糖値を測るという毎日。

    ムギが突然“スマート化”してしまったみたいで、なんだか変な気持ちでした。

    むっちり体型が自慢のムギは、パッチが取れないように術後着を着て過ごすことになりました。

    体調が数字でわかるという安心感の一方で、ムギは、体に何かが装着されているという違和感をずっと我慢していたんだと思います。

    治療を始めて2か月ほどたったある日、ムギはとうとう、口でリブレを外してしまったのです。

    「嫌だったよね、ごめんね......」

    よかれと思って続けていたことが、ムギにとっては、つらくストレスだったのです。

    これは、私たち人間のエゴだったのだと。

    画像2: 11歳の夏、糖尿病がわかった

    インスリンの量を決めるために、検査は必要でした。

    でも、一番大切なムギの気持ちを、置き去りにしてしまっていたのです。

    “3人のチーム”ができあがった

    病院の先生と相談し、リブレでの測定は中止することに。

    いまは通院をしながらインスリンを朝晩2回注射する方法に落ち着いています。

    画像1: “3人のチーム”ができあがった

    注射は、朝は夫、夜は私が担当。

    ムギもすっかり慣れていて、朝6時、注射の時間になると夫の前に来て、背中を向けます。

    2回目の接種は19時。仕事に集中していると時間を忘れてしまいそうになることも。

    そんなときムギは、得意の低音ボイスで「にゃ〜」と知らせてくれたり、パソコンのモニターの前を横切ったりして、「そろそろだよ」と教えてくれます。

    画像2: “3人のチーム”ができあがった

    気づけば、ムギと私と夫は、自然と“チーム”のようになっていました。

    ムギの理解力と協力があってこそできたリズムです。

    同じ病気の猫ちゃんと暮らす方へ

    糖尿病について調べていくなかで、「注射が怖くて続けられない」「治療がなかなか進まない」そんな声があることも知りました。

    さらに、猫の糖尿病治療には、お金もかかります。

    通院、インスリンや注射器、低糖質のごはん......どれも安いものではありません。

    わが家でも、インスリンと注射器で1か月から2か月に一度、約2万円ほど。

    シニア猫保険に入っていても、糖尿病治療は入院や手術以外は対象外でした。

    それでも、いちばん大切にしたいのは、ムギが「普段どおり」に暮らせること。

    そして、同じ病気の猫ちゃんと暮らしている方にいちばん伝えたいのが、「ゆるゆると病気と付き合いながら元気でいますよ!」ということです。

    画像1: 同じ病気の猫ちゃんと暮らす方へ

    数値が少し悪い日があっても、落ち込みすぎない。

    治療をがんばりすぎて、日常が苦しくならないように。

    リブレをやめたのも、その思いからです。

    病気とは、いい距離を保ちながら、ふわっと付き合っています。

    これから先、もし状況が変わることがあったとしても、「ムギにとっての無理」を増やさないことだけは、変えずにいたいと思っています。

    画像2: 同じ病気の猫ちゃんと暮らす方へ

    治療を続けて約2年半、ムギの数値も少しずつ安定してきました。

    わが家はこれからも、ムギと夫と私、3人のチームで、ゆるやかに、ムギとの時間を重ねていきたいと思います。

    画像: おまけ。子猫時代のムギ。筋トレ中の一枚。シャー!!

    おまけ。子猫時代のムギ。筋トレ中の一枚。シャー!!

    山中玲奈さん家の猫ちゃんプロフィール

    名前:ムギ

    年齢:13歳

    性別:男の子

    性格:普段はおっとり、たまに粘着。ピンクが似合う男の子。表情豊か。ご飯がないと低音ボイスでキレる

    好きなあそび:テレビを観ながらのファーミネーターが至福のひとときです

    好きな寝床:ラタンの中、布団の上、椅子の上

    ごはん:低糖質のごはん

    ムギのインスタグラム@mmugi_chan

    ◇◇◇

    山中玲奈(やまなか・れな)
    イラストレーター。ライフスタイル全般をテーマに、女性誌の連載や特集ページのイラストカットを多数手がけるほか、広告コンテンツ、キャラクター制作など幅広い分野で活動中。
    https://www.renax.tokyo/

    みなさんの「猫ちゃんとのしあわせ時間」を募集します!

    web版『天然ねこ生活』では、読者のみなさまから「猫ちゃんとのしあわせ時間」を大募集しています。愛猫との出会いや、日常のかわいいしぐさ、お気に入りの場所でのひとときなど......。猫ちゃんとの大切なお話を、ぜひお寄せください。

    ▼下記アンケートフォームよりご投稿いただけます。

    ※内容は編集部で割愛・要約させていただく場合がございます。
    ※投稿いただいた内容が採用となった場合、編集部から個別の連絡をさせていただくことがございます。



    別冊天然生活『天然ねこ生活』

    別冊天然生活『天然ねこ生活』

    別冊天然生活『天然ねこ生活』

    amazon.co.jp



    This article is a sponsored article by
    ''.