誕生日を迎えました
1月7日の七草粥の日に誕生日を迎え、47歳になりました。
思春期から生きることに息苦しさを感じ、「30歳まで生きていられるだろうか……」なんて本気で考えていたのに、人生とは本当に不思議で、優しいものだと痛感します。
思い返せば、20代前半で夫と同棲を始めた頃。最初の猫と暮らし始めた日から、私たちの家には、旅立った子も含めて20匹の猫たちがやってきました。
みんな、少しずつ違う事情を抱えていました。元野良猫、他の家庭で暮らせなくなった子、性格も環境もさまざま。
けれど、やがて家の空気に溶け込み、自然とそれぞれの居場所を見つけました。

誕生日の七草粥
猫と暮らす毎日に、改めて思うこと
猫たちの存在は、私の心の支えでもありました。
夫と口論して心がざわついた夜も、精神的にぎりぎりの瞬間も、猫たちの何気ない仕草や、ちょこんと寄り添うぬくもりが、私をそっとつなぎとめてくれました。
「なぜ生きているのか」――。
そんな、こたえの出ない問いをずっと胸に抱え続けていた私に、彼らは「生きることに意味なんていらないんだよ」と、そのポーンと開いたお腹で伝えてくれました。
彼らを助けたくて家に迎えたはずなのに、助けられたのはいつも私のほうでした。
ただ当たり前に寄り添ってくれるふわふわの毛のあたたかさ。
子猫の頃は無邪気な猛ダッシュに心を和ませ、歳を重ねると陽だまりでうつらうつらと丸くなる姿に、そっと微笑む……。
そんな日常の中で、私の暮らしは少しずつ豊かになっていったのです。

我が家のスタメン(ビー、あい、ぴょん、ヒナ)
今年、これから猫と暮らすという方へお伝えしたいこと
もしかしたら、これを読んでいる方の中には、これから猫を迎える方もいるかもしれません。そして、愛のある方ほど「うまくいくかな?」と心配されているかもしれません。
そんな方に、私が今まで受け取ってきた「猫と暮らす小さな発見」をお伝えしますね。
・助けるつもりで迎えても、支えられるしあわせを感じることに
猫たちは不思議な力で、静かに人の心を癒してくれます。どんな病気や障がいのある子でも、きっと、お世話をする大変さにまさる優しさを受け取ることになるでしょう。
・背景や過去にこだわらず、今を受け入れる
元野良猫や事情があった子でも、時間をかければ信頼関係は育まれます。どうか安心して、そして焦らず、ゆっくり絆を深めていってください。それは、自分自身の悩める過去を癒す作業にもつながります。

生まれたばかりでなぜか家の前を彷徨っていた「こころ」。いまはすっかり甘えた家猫に
・小さな日常を観察する
廊下を歩く音、棚の上で毛づくろいする姿、ひなたの中での伸びや、夜のそっとした呼吸――。そうした小さな仕草の中に、しあわせの兆しがあります。そして、あなたも一緒にしあわせになれる。思う存分、味わってください。
・自分の心も大切にする
猫に寄り添うことで、自分の弱さや生きる喜びを受け止めることができます。猫は鏡で、師匠です。そばにいるだけで自分が大きく変わります。もちろん良いほうへ。
・関係は「育てる」もの
信頼は一日では築けません。少しずつ、猫も人も、家族になっていきます。小さな戸惑いに悩みすぎず、出会えた縁を信じることで、少しずつ距離が縮まって、気がつけば「かけがえのない者同士」になっています。

泣いていると励ましてくれる、やさしい猫たち
猫に感謝して今日もていねいに
今日も朝の静けさの中で、トイレの砂をかく音や、ごきげんな足音が耳に届く……。
食器のカチャッという音に反応して、猫が目を丸くする瞬間に、思わず笑みがこぼれます。
猫たちが教えてくれた日々の持ちきれないほどのやさしさを忘れずに、今年もていねいに、ただ生きていきたいと強く思うのです。
◇ ◇◇ ◇◇

咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」






