色も形も個性豊か
華やかなハボタンの世界

たくさんの葉が重なり合い、まるでキャベツのような見た目の「ハボタン」。大きくて丸々とした姿を思い浮かべる方も多いと思います。

フローラ黒田園芸を訪ねると、店先には手のひらサイズほどの小さなかわいい植物がずらり。見た目はハボタンのようですが、これまでの印象とだいぶ違うような……。

「ここに並んでいるのはすべてハボタンです。昔は大型が主流でしたが、品種改良が進み小型が主流になってきています。葉の色や形のバリエーションも豊富ですよ」と健太郎さん。

それぞれの品種を見比べると、健太郎さんの言う通り、だんだんと個性が見えてきます。

「葉のふちが丸いものを『丸葉』系、ギザギザと切り込みが入ったものを『切れ葉』系と呼びます。ふちが波打っていてフリルのようになっているものもありますよ」

「丸葉」系
葉のふちが丸い「丸葉」系。ハボタンの代表的な形で根強い人気がある。

「切れ葉」系
切り込みが入った「切れ葉」系。健太郎さんは寄せ植えのアクセントに。

また、個性豊かな面々の中には、「踊りハボタン」と呼ばれる背が高いものも。

「ハボタンはアブラナ科なので、春になるととう立ちをして菜の花のような花を咲かせます。花を楽しんだ後に茎の根元を切り戻すと、脇芽が生えて新たな葉が茂り、翌年も楽しめるのですが、この成長過程で枝分かれした枝がくねくねと伸びる姿からこの呼び名に。『枝づくりハボタン』とも呼びます」

バリエーション豊かなハボタンが登場したことで、寄せ植えの楽しみ方にも変化が。

「昔はハボタンといえば、松やナンテンと楽しむお正月の定番でした。寄せ植えでも、いろいろな草花と組み合わせるよりは、大きなハボタンだけを植えるというか。それがいまでは、ひとつの鉢でさまざまなハボタンを組み合わせて、お気に入りの世界をつくれるように。ぜひ皆さんにも、それぞれの品種の魅力を感じながら寄せ植えづくりを楽しんでほしいですね」

〈撮影／山田耕司　取材・文／太田菜津美（編集部）〉

黒田健太郎（くろだ・けんたろう）
黒田和義（くろだ・かずよし）

埼玉県にある園芸店「フローラ黒田園芸」に勤務。兄（健太郎）は寄せ植え制作やメディア発信、弟（和義）は仕入れなどを担当。弟が仕入れた草花を使って兄がつくる寄せ植えが人気を呼び、遠くから訪れるファンも多い。店内のあちこちには小さなスペースを生かして季節の草花が植えられ、そのセンスのよい植栽はガーデンづくりの参考になる。YouTubeやインスタグラムも人気で、寄せ植え作品やガーデンづくりの様子も見られる。
YouTube：フローラ黒田園芸ガーデニングチャンネル
インスタグラム：@kentarokuroda（黒田健太郎）／@florakurodaengei_staff（フローラ黒田園芸）