(『天然生活』2025年2月号掲載)
無理は手放し、軽やかに体と心に寄り添う日々へ
「お久しぶりです」と、明るい笑顔で出迎えてくれた板倉直子さん。腰近くまであったロングヘアからばっさりとショートカットになり、なんだかとても軽やかな印象です。
店舗の面積を小さくし、仕事の時間をぐっと短縮して。コロナ禍前後のこの数年は、「人生で何度目かの大きな転換期だと思います」と、板倉さん。
実は2024年は、甲状腺の病気が発覚し、10日間の入院と手術も経験しました。これまでにも大病を患ったことがありましたが、今回は原因不明のだるさが続き、ままならぬ時間をすごしたそう。
「だから一層、体にも心にも『無理をしない』を意識するようになって。髪形を変える怖さはあったけれど、ヘアケアの負担を軽くし、気持ちも変えたくて、髪を切ることを決めました」

「家の中でもとくにベッドルームは清めておきたくて」。窓辺に「浄化に役立つ」ホワイトセージを下げて
店舗の営業時間を短くし、午前中はデスクワークに集中して残業はできるかぎりせず、夜7時に帰宅。そんな「引き算」がもたらす新しい日常は、いいことづくし。
「ぐっすり眠れると、朝も気持ちよく目覚められるから、食事の支度にも余裕が生まれ、お弁当がつくれるようになって。食事が整うと体の負担も軽くなり、よい睡眠につながって──。睡眠と食事でこんなにもよいめぐりに変わるのかと、驚いています」

手づくりのお弁当で昼食。弁当箱は使いやすいサイズの「工房アイザワ」のものを愛用
日々のスケジュールに母の介護が加わったこともあり、仕事だけでなく家事も「引き算」を意識している板倉さん。たとえば、毎日の習慣だった掃除機がけをやめ、平日はフローリングワイパーのみ、掃除機はロボットに任せるようになったそう。大好きな花活けも、いまは枝ものにシフト。
「花がしおれて寂しい思いをすることもなし。観葉植物が脇芽から増えたり、意外性を楽しんでいます」

「観葉植物の脇芽を花びんに挿して眺めていたら、根が出て増えたものも多いんです」と板倉さん
立ち止まることで味わえる豊かな時間を大切に
そうして生まれたゆとりによって、近ごろは新しい挑戦へ意欲も芽吹いてきました。
「紅茶の世界は仕事でも家庭でもない、私の心の大切なサードプレイス。もう少し理解を深めるため、資格取得の勉強をしようと思っています」

家には数々の茶葉のストック
けれど、もちろん基本は無理なく、軽やかに。「広くではなく、深くひとつずつ向き合う」時間が、これからの板倉さんの毎日を彩っていくことになりそうです。
「昼も夜もなく、がむしゃらに仕事に打ち込んできた年月もまた、たくさんの学びに満ちたかけがえのない人生のプロセス。だからこそ、少し立ち止まって療養した時間を忘れず、すこやかに豊かなときを重ねていきたいですね」
板倉さんが新しい時間割のために見直したこと
● すべては健康から。食事と睡眠の質を高める
● 家事の引き算で、ほどよい心地よさを知る
● 仕事でも家庭でもないサードプレイスをもつ
〈撮影/辻本しんこ 取材・文/玉木美企子〉
板倉直子(いたくら・なおこ)
セレクトショップ「Daja」(島根県松江市)ディレクター。上質さとエレガントさを兼ね備えた、女性らしく、美しい服選びに定評がある。「天然生活オンラインショップ」で企画するオリジナルアイテムが人気を博し、全国にもファンが多い。著書『大人の悩みにこたえるおしゃれ』(扶桑社)も好評発売中。https://www.allo-daja.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




