2月後半、猫たちにある変化が
二月も終わりに近づき、寒さの合間にふっと緩むような暖かい日が増えてきました。
朝、カーテン越しの光がやわらかくなると、家の空気も少しだけ軽くなったように感じます。
我が家には、十匹の元保護猫がいます。
二階のベッドのある部屋は、いつの間にか「子ども部屋」と呼ぶようになりました。冬の間、その部屋では毎日猫たちがぎゅうぎゅうのおしくらまんじゅう。ベッドの上も、クッションの上も、空いている場所はほとんどありません。体温を分け合うように、誰かの背中に誰かの顎が乗り、しっぽとしっぽが絡み合っています。

冬はぎゅうぎゅう猫団子
けれど最近、その密度に少し変化が出てきたように感じるのです。
全員がぴったり寄り添うのではなく、ほんの少し、隙間ができるように。窓際に伸びて眠る子、ベッドの端でお腹を出して転がる子。それぞれが、陽の光を独り占めするみたいに、気持ちよさそうに目を細めています。

暖かくなってくると各自でまったり
春が近いことを教えてくれる
猫たちは言葉を話しませんが、季節の変化にはとても正直です。
「もう春が近いで」
そんな声が聞こえる気がして、私たち夫婦も思わず顔をほころばせます。暖房の設定を一段下げるタイミングや、毛布を一枚減らす日を、猫たちが教えてくれるのです。
元保護猫たちと暮らしていると、安心して眠る姿そのものが、何よりの贈り物だと感じます。
かつては寒さや不安の中で過ごしていたかもしれない子たちが、今は陽だまりの中で、無防備に手足を伸ばして眠っている。その光景を眺める時間は、忙しい日常の中で私たちの心を静かに整えてくれます。
春は、もうすぐそこまで来ています。
子ども部屋に差し込む光が、少しずつ長くなるのを感じながら、今年もまた、猫たちと一緒に季節を迎えられることをありがたく思うのです。

お日様の光を浴びて
猫との季節の変わり目の暮らしのヒント
・寝る場所の変化は、季節のサインとして観察してみましょう
ベッドから廊下の陽だまりへ……。きっとそこには、暖かい春が訪れているはずです。
・急に環境を変えず、毛布や暖房は段階的に調整すると安心です
三寒四温。まだ気の抜けない寒い日もある二月。いつでもぬくぬく対策ができるようにするのが大切。
・日向ぼっこできる場所を確保すると、猫が自然に体温調節できます
暖房もいいですが、何より心地よいのが天然の光。カーテンを開け、お日さまを取り込んであげましょう。
・眠っている姿を邪魔せず、そっと見守る時間を大切にしましょう
気温変化があり体調を崩しやすい季節ですので、ゆっくり眠ってもらって、パワーを蓄えてもらうのも大事なケアです。

こちらは「猫枕」
こうして今日も、子ども部屋には穏やかな時間が流れています。
猫たちの寝息と、やわらかな光に包まれながら、特別なことは何もないけれど、かけがえのない一日が終わっていきます。
季節はまた静かに巡り、猫たちはその先頭に立って、私たちに春の気配を教えてくれるのでしょう。
この小さな変化を見逃さずにいられる暮らしができるのも、年齢を重ねたからこそ。
今だから味わえる季節の香りを楽しめることに、今年も感謝したいですね。
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咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」






