• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。花粉の季節の猫との暮らし。

    鼻がむずむず……。花粉の季節がやってきました

    今年の春は、どうやら私に少し意地悪をしているようです。

    朝起きると喉がいがらっぽく、鼻はむずむず……。熱はなく体も動くので、「これは軽い風邪だろう」と、温かいお茶を飲みながら数日やり過ごしていました。

    けれど、症状はなかなか治りません。

    むしろ、晴れて風のある日にひどくなることに気づいた頃、ようやく「ああ、花粉症だったんだ」と、一人で苦笑いをしました。

    季節の変わり目に鈍感になっていたのは、どうやら私のほうだったようです。

    そんな私の様子を、猫たちはじっと眺めています。

    私がくしゃみをするたび、少し離れた場所からこちらをうるうるの瞳で見つめる子。いつもより目を細めて、前足で顔をこする子……。

    画像: 夫のくしゃみでロフトのハシゴに避難する猫たち

    夫のくしゃみでロフトのハシゴに避難する猫たち

    猫にもアレルギーがある

    あれれ? 何かおかしいぞ。

    調べてみると、猫にも花粉やハウスダストなどのアレルギーがあることを知りました。

    我が家の猫たちは、それぞれ出身がばらばらの元保護猫。体質も個性も違います。

    人と同じように、季節の変化に敏感な子もいれば、そうでない子もいる。

    くしゃみや目やに、皮膚のかゆみなど、小さなサインを見逃さないことの大切さを、あらためて感じました。

    人も猫も、自然の中で生きている。目に見えない花粉が飛び始めると、体は正直に反応します。それを「不調」とだけ捉えるのではなく、「季節が変わったよ」という合図として、受け止められたらいいのかもしれません。

    春は、嬉しさと一緒に、試練も連れてきます。

    それでも今年もまた、くしゃみ混じりの笑顔で猫たちと並んでこの季節を迎えられたことをありがたく思うのです。

    画像: 洗濯物にも猫の毛がつくから要注意

    洗濯物にも猫の毛がつくから要注意

    不安定な春の訪れを迎えるヒント

    ・風の強い日は、窓開けは控えめに
    春の空気を感じたい日は思いきって窓を開け(もちろん脱走対策はしっかりと!)、風が強い日はほんの少し控えめにします。外の様子を見ながら調整するだけで、無理のない空気の入れ替えになります。

    ・掃除は「気づいたら」で十分
    アレルギーが気になる! とはいえ毎日きっちりやろうとすると精神が疲弊してしまいます。猫の毛が気になったときはさっと手を動かし、大丈夫なときはゆっくり休む。その軽さが、続けられる秘訣です。

    ・毛の集まる場所だけ、重点的にやさしく
    部屋全体ではなく、猫たちがよく集まる場所を中心に。お気に入りの寝床や窓辺は毛の溜まり場。そこを整えるだけでも、空気は変わります。

    ・布ものは、思い出した頃に
    カーテンやラグは、季節の区切りを感じたタイミングで洗います。「そろそろかな」と思えたら、それがちょうど良い合図です。普段のお掃除では取り除けないがんこな毛を一掃してしまいましょう。

    ・寝床を整える
    毛布を一枚減らしたり、ぬくぬくコーナーの場所を変えたり……。猫たちの様子を見ながら整えることで、自然と季節に寄り添えます。

    ・小さな変化に、そっと目を向ける
    くしゃみ、目やに、皮膚の様子。猫たちはちゃんとヘルプを出してくれます。それにそって、換気をしたり、ブラッシングや濡れた脱脂綿でそっと拭く。ひどいときは病院に行くなどの対策を練りましょう。

    ・「今日はゆっくり」でいい
    人も猫も、調子が出ない日はあります。そんな日は無理をせず、静かに過ごすことを選びます。「休むこと」も、免疫力をあげる大切なケアです。

    アレルギー対策は、守るために気を張ることではなく、一緒に暮らす時間を、少し心地よく整えること。

    猫たちの穏やかな寝顔を眺めながら、今日もできることを、できる分だけ。

    それが、長くともに生きていく「ちょうどいい暮らし方」なのだと噛みしめるのです。

    画像: 花粉の日は体をきれいに毛づくろい

    花粉の日は体をきれいに毛づくろい

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    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

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