• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。季節の猫との暮らし、洗濯のお話。

    暖かくなってくると始まる、猫の毛問題

    春になると、洗濯機を回す回数が少しだけ増えます。

    理由は簡単です。わが家には、10匹の元保護猫がいるからです。

    朝、カーテンを開けると、光の筋のなかに細い毛がふわりと浮かびます。まるで春そのものが、やわらかい産毛をまとっているみたいです。けれどその正体は、昨夜私のニットにびっしりとついていた、あの子たちの名残。

    洗濯機の前で、私は一度、ぱん、と服をはたきます。それでも取りきれない毛が、しぶとく繊維にしがみついています。ぱたぱたと揺すり、エチケットブラシをかけ、ようやく満足して洗濯槽へ送り出します。春の洗濯は、少しばかり気合いがいるのです。

    画像: この時期はブラッシングを忘れずに

    この時期はブラッシングを忘れずに

    猫の毛は生きている証

    けれど不思議なことに、干し終えたシャツに一本だけ残った毛を見つけても、以前のようにため息は出ません。

    「ああ、今日もみんな元気なんやなあ」

    そう思うだけです。

    10匹のうちの誰の毛なのかは、分かりません。甘えん坊の全かもしれませんし、抱っこが苦手なヨナかもしれません。けれど確かなのは、その一本が、ここにいる命の証だということです。

    元はそれぞれ別の場所で、別の時間を生きていた子たちです。怖い思いをしたことも、寒い夜を越えたこともあったでしょう。それでも今は、私の洗濯物に遠慮なく毛を残していきます。それは、この家を自分の居場所だと信じている証のように思えます。

    猫のいるおうちの洗濯アドバイス

    ・洗う前に「乾いた状態」で毛を取る
    濡れてしまうと、毛が繊維に絡んでとれにくくなります。お洗濯前に、エチケットブラシなどで、そっと一撫でして解決!

    ・洗濯ものを入れる前に、一度「空回し」をする
    何も入れずに1分ほど回すと、前回残った毛が排水フィルターに集まって便利です。

    ・ペット用専用ボールを使う
    毛を絡め取ってくれるタイプ(シリコン製など)を一緒に入れると効果的です。

    ・寝具は週1→週2へ
    特に猫がのる場所(毛布やクッションカバー)はこまめにお洗濯。花粉対策にもなるので一石二鳥です。

    ・猫専用ブランケットを用意する
    よくいる場所に敷くことで、毛の拡散を防げます。それだけをまとめ洗いすると効率的。

    ・香りが強すぎる柔軟剤はNG
    猫は匂いに敏感です。なるべく無香料のものをつかってあげましょう。

    画像: 家の中を闊歩するわが家の猫たち

    家の中を闊歩するわが家の猫たち

    春の光に透ける洗濯物の向こうで、猫たちはもう次の毛を落とし始めている……。

    今日も私はため息をついて、洗濯かごを持ち上げます。

    それでもいいのです。

    この小さな毛のひとつひとつが、一緒に暮らしている重みなのですから。

    画像1: 猫のいるおうちの洗濯アドバイス

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    画像2: 猫のいるおうちの洗濯アドバイス

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

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