• RARI YOSHIOさんが20年ぶりに贈る新著『心をととのえる処方箋──12か月のFlower days』。本書では、自然のリズムに寄り添い、心と身体を澄ませる花の知恵を12ヶ月で紹介しています。今回は「桜」の章から、切り花から根づき大きく育った桜の記憶をたどりながら、命の循環と再生の力に目を向けます。春と冬が交差する那須の風景とともに、心がほどけていくひとときをお届けします。

    春の訪れを告げる、魂を解き放つ花の精霊

    画像1: 春の訪れを告げる、魂を解き放つ花の精霊

    3月末から4月にかけて、庭の桜が咲き始めます。

    庭には6本ほどの桜がありますが、いつも最初に花を咲かせるのは「啓翁桜(けいおうざくら)」。

    この桜は、もともと逗子で暮らしていた頃、お花屋さんで買った切り花でした。

    花が終わっても水にさしておくと、やがて根が伸び、葉が芽吹いてきたのです。

    夫がプランターで大切に育て、そして那須へと連れてきました。

    庭に根を下ろした桜は今では大きな木となり、毎年、真っ先に春を告げてくれます。

    お客さまに「もとは切り花だったんですよ」とお話しすると、みなさんとても驚かれます。

    枝は木から切り離されても、その中に桜の記憶をすべて宿していて新しい命として、別の大きな木へと育っていく。

    その奇跡を、この庭で目の当たりにしました。

    画像2: 春の訪れを告げる、魂を解き放つ花の精霊

    実は私自身、子どもの頃にも似た体験があります。

    東京・小平で暮らしていたとき、雑木林でひと枝を折って持ち帰り、庭にさしておいたら、気づけば木に育っていたのです。

    どんな木だったのかは忘れてしまいましたが、「ただ土にさすだけで木になるのだ」という生命力の強さを幼いながらに感じたことを覚えています。

    そして思うのです。

    もしあのとき、花が終わった枝をすぐに捨ててしまっていたら......。

    今、庭で大きく育った桜を見ることはなかったでしょう。

    4月の那須では、まだ雪が舞うことがあります。

    桜の花びらに白い雪が重なりピンクと白が溶け合う幻想的な風景を見せてくれる年もありました。

    それはまるで、春と冬のあわいに現れる一瞬の夢のような風景でした。

    画像3: 春の訪れを告げる、魂を解き放つ花の精霊

    本記事は、『心をととのえる処方箋──12か月のFlower days』(RARI YOSHIO・著/主婦と生活社・刊)からの抜粋です。

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    『心をととのえる処方箋──12か月のFlower days』

    『心をととのえる処方箋──12か月のFlower days』(RARI YOSHIO・著/主婦と生活社・刊)

    心をととのえる処方箋

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    20年前、多くの読者の心に花を届けた『FLOWER BOOK』
    あれから時を経て、いま再び──
    那須の暮らしと、JARDIN BLANCの庭から“心をととのえる処方箋” をお届けします。
    花とともに過ごす12か月
    自然のリズムに寄り添うことで
    心と身体が澄んでいく

    著者からのメッセージ
    この本は、読むための本ではなく、“感じるための本”です。ページをめくるたびに、花の香り、光の温度、風のやわらかさが心の奥の静けさを呼び覚まします。デザイン、写真、イラスト、言葉──すべてを自らの手で紡ぎ、ひとつの命あるもののように育てました。それは、私たちが忘れてしまった「調和」と「やすらぎ」を、もう一度この地上に呼び戻すための処方箋。季節とともに移ろう“心の庭”を、あなた自身のリズムで歩んでください。



    <編集・文・写真/RARI YOSHIO>

    RARI YOSHIO(らり・よしお)
    Art & Design Creator/Healing Creator。東京生まれ。自然に囲まれた子ども時代から、世界を愛おしむ方法を学ぶ。SAZABYでバッグデザイナーとして形と素材を究め、パリでの経験を積む。やがて「イラストレーターになりたかった」という忘れた夢が芽吹き、独立。那須高原へ移り、ガーデナーの夫が手掛ける300坪の庭〈JARDIN BLANC〉で、花とハーブと風が奏でる「癒やしの場」を舞台に、創作を続ける。見える世界と見えない世界の間に橋をかけるような、創造と癒やしの世界観。著書に『SIMPLE NOTE』『FLOWER BOOK』『HOLIDAY BOOK』『SUNDAY RABBIT』など。パッケージデザイン大賞・木村勝賞受賞。



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