ようやく見つけたお気に入りのラグ。気がつけば、猫の毛がびっしり
朝、ラグに光が差すと、そこに猫の毛がふわっと浮かびます。
我が家には猫が十匹。ふと部屋を見渡すと、どこかしらに猫がいて、誰かが寝ていて、誰かが歩いていて、誰かが毛づくろいをしています。そんな暮らしです。
猫と暮らしていると、楽しいことは数えきれません。
でも、ちょっとした困りごともあります。そのひとつが、猫の毛です。
お気に入りのラグ。ふかふかで、色も柄も気に入って、ようやく見つけた一枚。ところが気づけば、そこに猫の毛がびっしりついています。
もちろん掃除をすればいいのですが、猫が十匹いると、掃除しても掃除してもまたふわり。気づけばラグの上に、猫の毛の雪が降ったようになります。

冬の絨毯はかなり毛まみれ
ある日ひらめいた「発想の転換」
きれいな部屋も好き。でも、毎日きっちり整える生活は、私には少しだけ息が詰まります。もう少し、ゆるゆると生きたい。
そんなある日、ふと思ったのです。
「毛を消そうとするから大変なのでは?」
我が家の猫たちは、黒猫が七匹、白黒が一匹、キジ白が二匹。抜ける毛は、だいたいグレーっぽい色です。
それならいっそ、部屋をグレーにしてしまえばいいのでは。
そう思ってから、我が家のインテリアは少しずつ変わりました。
ラグは、冬も夏もグレー。しかも、無地ではなく、ほんのり模様があるもの。そうすると、猫の毛が落ちても、あまり目立ちません。
ベッドカバーも、ブランケットもグレー。座布団もグレー。
それだけだと少し寂しいので、アクセントにネイビーを置きます。

夏のラグとクッション。グレーの濃淡にネイビーを効かせてコーディネート
ネイビーのクッション。ネイビーの雑貨。
そうすると、部屋の雰囲気がぐっと締まります。
猫の毛対策から始まったインテリアですが、気がつけば、部屋全体に統一感が生まれていました。
不思議なものです。
暮らしの小さな困りごとが、部屋づくりのヒントになることもあるのですね。
きっともし、うちの子が茶トラばかりだったら、ブラウンやキャメルのインテリアを、楽しんでいたかもしれません。
猫の毛と暮らす。それもまた、猫と暮らす楽しみのひとつなのだと思います。

ジャストサイズを買ったはずが、はみ出ている方
猫と暮らす家の、ゆるやかなインテリアの工夫
・毛の色を、味方にしてみる
猫の毛はなくなりません。それなら、インテリアを猫の毛の色に寄せてみます。驚くほど、目立たなくなります。
・無地より、ほんのり柄
細かな模様や織り柄のあるラグや布は、毛が落ちても見えにくいもの。猫との暮らしの、ささやかな知恵です。
・アクセントカラーをひとつ
ベースカラーを決めたら、差し色をひとつ。部屋にぐっとまとまりが出ます。わが家ではネイビーが活躍しています。
・完璧を目指さない部屋
猫と暮らす家は、少しだけラフなくらいがちょうどいい。毛も、足あとも、暮らしの一部です。
・「猫基準」で選ぶ楽しみ
家具や布を選ぶとき、「うちの猫ならどうかな」と考えるのも、猫暮らしならではの楽しみです。
猫がいる部屋は、少し散らかって、少し毛が舞っていて、でもなぜか、あたたかい。
そんな部屋で、今日も猫たちと一緒に、ゆるゆると暮らしています。

常にいる場所だから、毛が目立ちにくい色を選ぶ
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咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」






