(『天然生活』2025年6月号掲載)
何事も余裕をもって楽しみたい。がんは自分を見直すきっかけに
2024年の初めに乳がんが見つかり、6月に手術を受けた歌人の東直子さん。それまでは病気知らずで、がんになるなんて青天の霹靂だったといいます。
「運動不足だけ少し気にしていましたが、お酒は飲まないしタバコも吸わないし。毎年、人間ドックで乳腺エコーを受けていたので、見つかったときもごく初期だと思っていたんです。ところが検査が進むにつれ、リンパにも転移していることがわかりました」
手術に抗がん剤、放射線、ホルモン剤、分子標的薬と、ご本人曰く、フルコース、デザート付きの治療が現在も続いています。
これからは多忙で疎かになりがちだった遊びや交友関係も大切に、何事も余裕をもって楽しみたいと
いいます。最近は、かけない・吸わない・飲まないを合言葉に、健康麻雀を友人たちと始めたそう。

療養中、東さんが好きなイエティにそっくりと、知人からプレゼントされた抱き枕の「フニオ」。ふにゃりとした抱き心地
「治療は辛いだろうと想像していましたが、ケアも発達していますし、思ったより普通に生活できています。これからも先は長いので、病気とともに気長に暮らせれば。がんが見つかったことで、自分を見つめ直すきっかけにもなりました。元気で動けるうちに創作に集中し、自分らしい作品を残したいと思っています」
私の体質改善01
楽しいことに集中する時間をもつ
3年ほど前に近所の陶芸教室に月に2回ほど通い始めた東さん。いまでは陶磁専門の公募展で世界一の規模を誇る「全陶展」に応募し、入選するほどの腕前に。

好きな鳥を描いたお碗。手前は新婚旅行で訪れたニュージーランドの国鳥・キウイ柄

イエティやシロフクロウ、アカショウビンなどの置物
「何もしないでいると、いろいろな心配ごとやネガティブなことを考えがち。無心で手を動かすことで、雑念から解放されます。ご近所さんとの会話も、楽しみのひとつです」
私の体質改善02
疲れたら仮眠をとる
ちょっと疲れたり、薬の副作用で調子が悪かったりするときは、15分ほど仮眠をとるようにしています。

リンパ浮腫のため、むくみ対策に抱き枕の上に左側の腕を乗せて仮眠する
「病気になってからは、とにかく無理をしないように自分にいい聞かせ、だれにも遠慮せず、昼寝をするようになりました。ベッドで熟睡してしまうと夜の睡眠に影響するので、ヨガマットの上でごろんと横になることが多いです」

娘からプレゼントされたアイピローとピローミスト。ラベンダーやカモミールが配合されたやさしい香り
〈撮影/星亘 取材・文/長谷川未緒〉
東直子(ひがし・なおこ)
小説、戯曲、イラストレーションも手がける。1996年に短歌連作「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞受賞。第31回坪田譲治文学賞受賞の小説『いとの森の家』はNHKでドラマ化。ベストセラーとなった小説『とりつくしま』は、娘で映画監督の東かほりさんにより映画化され、2024年に公開された。著書に『階段にパレット』(だいわ文庫)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



