エアコンが苦手な猫たちの梅雨支度
もう梅雨だとか。まいったもんだ、とため息をつきます。
梅雨になると、猫たちの「ちょうどいい」が、少し難しくなります。窓を開けたいのに雨。風を入れたいのに湿気。人間はなんとなく体が重くなり、猫たちは、あちこちに落ちています。

床に落ちてます
わが家の猫たちは、あまりエアコンが得意ではありません。もちろん暑すぎるのは危険なので少しは使うのですが、「冷たい風そのもの」は、どうも好きではないようです。
除湿をつけると、まず最初に反応するのは、わが家のわがまま姫「こころ」です。
「なんか空気、変わりましたよね」
そんな顔で部屋をにおったあと、冷蔵庫の上へ向かいます。エアコンの風がお気に召さないらしく、少しあたたかいその場所で、全体を見渡したいようです。

冷蔵庫の上を基地にする、こころ
一方、アイドルグループのセンター「サチ」はもっと自由です。
最初は「なにこれー!」という感じで少し騒ぐのですが、気づけば一番快適な場所を見つけています。
それが、万が一の猫保護用に片づけていないケージの上に敷いた段ボール。
ひんやりしているのか、爪を研げるのがよいのか......。人に見せるのははばかられるボロボロの段ボールに、サチがぺたんと転がると、みんなもぞくぞく集まります。

謎の人気スポット。多いときは6匹も

長毛の血が入っているのか、暑そうな、ちみ〜
「あ、今日はそこが正解なのですね」
そんな空気になります。わが家は、だいたいサチのテンションで室内気候が決まります。ムードメーカーというより、小さな気象予報士です。
そんななか、「全」は、どれだけ暑くても人から離れません。
こちらとしては、「そんなに密着したら蒸れるでしょう」と思うのですが、全は暑さより“そばにいたい”が勝つらしく、じめじめしていても、私たちのおなかの上に、足の横に来ます。

暑いのに、私の足を抱きかかえる全(ぜん)と一(いつ)兄弟
結果、人間だけが、うーん、うーん、とうなされています。
そんなふうに猫たちは、それぞれ違うやり方で梅雨を過ごしています。
エアコンを好きにならなくてもいい。窓が開けられなくてもいい。
その日の自分にベストな場所を、自分で探せる自由があること。
梅雨の猫たちを見ていると、それが案外、幸せな暮らしなのかもしれないと思うのです。
◇ ◇◇ ◇◇

咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」





