• 店内のBGM、映画のエンドロール、父が買ってきたレコード……ふとしたきっかけで昭和歌謡にはまっていった編集部員2名と、リアルタイムで青春をともにしてきたライター1名が、大好きな1枚を持ち寄って語り合います。今回は、中森明菜の『スローモーション』、斉藤由貴の『卒業』、ゴダイゴの『ガンダーラ』。出合った時代も入口もそれぞれ違う3人が、名曲の深みと魅力を“再発見”していくゆるやかなトークをお届けします。

    <座談会メンバー>

    川添大輔 団地と鉱物をこよなく愛する天然生活編集部員。音楽に目覚めたのは大学生になってからで、昭和歌謡を「発見」して楽しんでいる。昭和歌謡以外で最近よく聴いているのはTom Misch、toe、Spangle call Lilli line、ハイスイノナサ、中村弘二など。

    笠原みなみ 天然生活webの編集部員。古い音楽や映画のほか、歴史的建造物や喫茶店、町中華、銭湯など「昭和」の香り漂う文化がとにかく好き。音楽は大滝詠一やムーンライダーズなど古い日本ロックからジャズ、ヒップホップにハロプロまで幅広く雑多に好む。

    山西裕美 web制作会社所属の編集・ライター。幼い頃から音楽に親しみ、「YMOの誰かに会いたい」という理由で編集者を志す。大学卒業後、出版社に入社しティーン雑誌の編集に携わる。現在は雑誌、書籍、webなどの企業取材、音楽、映画などの編集・ライティングを担当。好きな音楽のジャンルはハードロック、ヘヴィメタル、プログレッシブ・ロック、パンクロックなど。初めて買ったレコードはピンク・レディーの『渚のシンドバッド』。

    笠原のいちおし曲
    松本隆が描く女性心理に脱帽した、斉藤由貴の『卒業』

    山西 そして、笠原さんは斉藤由貴さんの『卒業』を選んでいますね。

    川添 1985年リリースで、この曲がデビュー曲なんですね。

    山西 松本隆・作詞、筒美京平・作曲のゴールデンコンビ、編曲は武部聡志さんですね。

    画像: 斉藤由貴『卒業』/ポニーキャニオン youtu.be

    斉藤由貴『卒業』/ポニーキャニオン

    youtu.be

    川添 イントロがすごくいいですね。

    山西 ジャケット写真を見ても、斉藤由貴さんはめちゃくちゃかわいいですね。この曲を出す前に「青春という名のラーメン」のCMで「かわいい」と世間はザワついていたし、クラスでも話題にはなってはいました。笠原さんはこの曲をなぜ知ったんですか?

    笠原 大滝詠一さんのファンになった私は、2015年に作詞家・松本隆さんの作詞活動45周年を祝うコンサート「風街レジェンド2015」に行ったんですが、コンサートに行ったときに斉藤由貴さんが出てたんですよ。そのとき歌ったのが『卒業』で、かわいいし、声もすごくキレイで、たくさんの出演者の中でも本当に存在感がすごかったんです。あらためてこの曲を聴くと「卒業式で泣かない」「冷たい人と言われそう」とか、ちょっと歌詞がひねくれていて、松本隆さんの作詞は改めてすごいなと思いました。

    山西 1985年、私は中学3年生で、まさに卒業を控えていて。同じ時期に尾崎 豊さんの『卒業』が曲が長いからなのもあって12インチシングルで出て、あとは菊池桃子さんの『卒業-GRADUATION-』もあって、同じ時期に『卒業』という曲が3曲流行っていたんですよ。私は尾崎 豊のファンで、当時すでにコンサートにも行っていて、もちろんこの曲が一番好きだったんですが。斉藤由貴の『卒業』を初めて聴いたときは、「なんつー歌詞だ!」と思いましたね。

    川添 シニカルすぎてってことですか。

    山西 リアルに卒業する年代だったけど、「涙をとっておこう」なんてそんな計算高い人がいるのか、と思いましたね。河合奈保子さんの『けんかをやめて』以来の衝撃でした。

    笠原 当時のヒット曲は、「彼氏がいるけど他の人も好き」みたいな曲も多かったですよね。

    川添 そこは絶対インパクトを狙ってる歌詞ですよね。

    山西 松本隆さんという男性がこんな歌詞を書いているのにも衝撃でしたね。女の子の気持ちをどう理解して書いてるのか? って感じで。

    笠原 同じく松本隆さんの太田裕美さんの『木綿のハンカチーフ』なども、最終的には悲しいストーリーで女性の心理をこんなにうまく書けるのはすごいと思いました。

    山西 同じ時期にリリースされたこの3曲では一般的には、菊池桃子さんの『卒業-GRADUATION-』が王道の歌詞で、一番人気でしたね。

    川添 本当だ! オリコン週間チャート1位を獲得していますね。

    山西 ジャケット写真の菊池桃子さんはめちゃくちゃかわいくて、とくに男子に人気がありましたね。とにかく卒業ソングはこのあたりから定番化してきましたね。菊池桃子さんの『卒業-GRADUATION-』の作詞は秋元 康さんですが、その後作詞したおニャン子クラブの『じゃあね』なども、名曲でしたね。あの時代の卒業ソングは個性的で、印象深い曲がたくさんありましたね。



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