(『天然生活』2025年7月号掲載)
調理道具も味のうち。天然素材を長く使って
そしてもうひとつ。まさこさんの料理を支えているのが、使い勝手のよい調理道具です。こちらも調味料と同様に、「伝統的に使われてきたデザインや、天然素材を使ったもの」が長く手元に残り、役立てられてきました。

まさこさん宅のキッチン。銅の玉子焼き器に鉄のフライパン、ダンスクの両手鍋などを、現在は妹の統子さんと3歳の娘のリンさんが使いこなしている
取材に訪れた日はちょうど、ひなまつり。自宅のテーブルの上には、妹の統子(みちこ)さんがまさこさんのレシピでつくった「ちらし寿司」が置かれていました。ローストビーフが入ってボリュームも満点、華やかなそのひと品を、飯台の美しさがさらに引き立てています。

ちらし寿司は店舗で「もと」を販売するほど、まさこさんの定番料理のひとつ。「井上古式じょうゆ」や「白たまり」などが使われている
「公私ともにお世話になっている田中文さんのお店『キッチンパラダイス』で購入した、さわらの飯台です。形も素敵なうえ、軽くて扱いやすい。ふたがあるので、ごはんが乾かないのも実用的です」
東京で暮らしていた20代のころ、陶芸を学んでいたこともあるまさこさん。暮らしのなかで役立つ道具には、使いやすさと美しさの両方が備わっていることを肌で感じてきました。いま、サウンズフードでまさこさんは、キッチンに立つ代わりに、陶芸作家の展示会の企画・開催を行っています。

使い込まれ味わいを増した土鍋と銅鍋
加えて、パエリアパンを熱して看板メニュー「鉄板ナポリタン」の皿として使用したり、土鍋でアヒージョをつくったりと、自由な道具の使い方も、まさこさんが得意としてきたところ。こんなふうに応用ができるのも、シンプルで使いやすい道具を選んできたおかげかもしれません。
「伝統的なデザインを受け継ぐ鍋やフライパンも、センスが生きる器も、料理の味を引き出してくれる欠かせない存在です」

喫茶店ではワンプレートに添える野菜やプリンづくりにせいろが大活躍
〈撮影/いわいあや 取材・文/玉木美企子 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉
はらだ・まさこ
1981年、喫茶モーニングの街・愛知県豊橋市に生まれる。カフェオーナーだった賢介さんと結婚し、家族で日本と海外を行き来する生活を送った後、2018年に福岡でカフェ「サウンズフード サウンズグッド」をオープン。2021年、長女・リンさんを出産後、足から違和感を感じるようになり、2023年にALSの診断を受ける。失意の底に突き落とされるが、自然治癒の症例もあると知り、その可能性に希望を見いだして生きることを決意。現在は「#何処かで誰かの希望となりますように」を合言葉に、これまで考案してきたレシピを記録に残す活動を開始している。
インスタグラム:@sfsg_masako
〈撮影/いわいあや 取材・文/玉木美企子 協力/田中 文(キッチンパラダイス)〉
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▼天然生活web「難病ALSとともに生きる」
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4才と12才の子の母であり、シェフのまさこさん。3年前、難病ALSだと診断を受けました。治療法が確立されていない進行性の病気です。
「子どもたちに”母の味”を残したい」
病と向き合う著者がそんな願いを胸に綴った、料理が好きな人や、家族を大切に思うすべての人に届けたい胸に深く響くエッセイ&レシピ集です。










