(『天然生活』2025年8月号掲載)
自然の風をうまく取り入れて、エアコンと使い分ける
風には体から熱を奪う「採涼」と、汚れた空気を入れ替える「換気」というふたつの役割があります。
風をうまく取り入れることは涼しさをもたらしますが、真夏の猛暑には風だけでは不十分で、エアコンの使用が効果的です。風を味方にして涼をとるのは、エアコンを使うほど暑くない時季の方法と考えておきましょう。
工夫1
通風は入り口と出口の両方を忘れずに

風は、入り口と出口の両方があって初めて吹き抜けていくものです。いくら大きな窓でも、開いているのが1カ所だけでは、風は抜けていきません。窓を開けるときは必ず2面開口し、風の出入り口を確保します。出口は入り口よりも小さくてよいですが、入り口の3分の1以上の大きさを確保するようにしましょう。
工夫2
風の出口を高くすれば熱気が抜ける

風の流れをよくするには、風の出入り口の高さも関係します。空気は冷たいと下の方に、暖かいと上にたまります。その原理を利用して、外の涼しい空気を低い入り口から取り入れて、室内で温められた空気を高い出口から屋外へ。1階のリビングの窓を開けて、高いところにある階段や2階の窓を開けてもOKです。
工夫3
打ち水するなら真昼間が効果的
玄関やベランダ、軒先などに打ち水をすると、涼を感じることができます。打ち水は、水が蒸発するときに周りの熱を奪って涼しくする仕組み。風が吹いているとより早く水が蒸発し、涼が得やすくなります。打ち水の効果がある時間帯は、真昼の暑い時間と、日中の熱が地面にこもった夕方です。
工夫4
高所の風で、室内の空気を引っ張り出す

周囲に建物が多く建ち、風が入りづらい家でも、風上の低い位置と風下の高い位置の窓を開けてみてください。これにより家の上部を流れている風が、室内の熱い空気を外に引っ張り出してくれる力が働きます。暖かい空気は上昇しやすいので、風との相乗効果で、熱を持った空気を家の外に運び出してくれます。
工夫5
サーキュレーターや扇風機で空気を動かす

サーキュレーターや扇風機をエアコンと併用すれば、冷えた空気を上手に循環。温度ムラがなくなり冷房効率がアップします。エアコンの冷気が苦手なら、これらを併用してエアコンの設定温度を高めに。扇風機は、風速1m/分で体感温度を2℃ほど下げますが、就寝中、風を当て続けると体温が奪われすぎるので注意を。
Column
縦すべり出し窓で風をとらえる

風を上手にキャッチするために、「縦すべり出し窓」を取り入れる方法があります。縦すべり出し窓とは、縦の部分を軸にして、外に飛び出すように開けるタイプの窓。空気は建物に沿って流れていく性質があります。引き違い窓を開けていても、風は建物に沿って流れていってしまいますが、縦すべり出し窓であれば、出っ張った窓が風をキャッチし、室内に引き込んでくれます。窓の位置やタイプ、風向きを意識しチェックしましょう。
* * *
<監修/前 真之 取材・文/工藤千秋 イラスト/須山奈津希>
前 真之(まえ・まさゆき)
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授。専門は建築環境工学。住宅のエネルギー消費に関する研究に取り組み、これまで25年以上、省エネ住宅の設計技術や評価手法の開発を続ける。健康で快適、かつ電気代を気にせず暮らせるエコハウスの実現と普及や、断熱・気密・通風などの改善、冷暖房の上手な使い方などを提案。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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