(『天然生活』2025年8月号掲載)
働き世代は、睡眠時間の確保が必須
仕事や家事に追われて、十分に睡眠がとれていない人は多いのではないでしょうか。これから暑くなると寝苦しい日が続いて、さらに寝不足になりやすくなります。
睡眠には、しっかり眠るための環境整備が大切ですが、「働き世代の人は何よりもまず、寝る時間を増やすことを意識してほしい」と話すのは、睡眠学の権威である筑波大学教授の柳沢正史さんです。
「質のよい睡眠なら短時間でも問題ない、というのは間違いです。睡眠の質を高めるためにも、睡眠時間の確保は必須です。慢性的な睡眠不足が続くほど、“睡眠負債”がたまっていき、集中力や仕事のパフォーマンスの低下はもちろん、肥満や認知症、がんなどのリスクも高まります」
寝不足の自覚がある人、日中に強い眠気がある人は、毎晩30分でも早く寝るように生活改善を。
「週末にたっぷり寝ている人もいると思いますが、睡眠は余分にため込むことができません。たまった平日に睡眠不足が続けば、負債は膨らみます。平日から寝る時間を少しずつ増やしていくほうが、体調を整える意味でも有効です」
よく眠れば、更年期症状も改善へ向かう

40~50代の女性は、疲労感、気持ちの落ち込みやイライラなど、心身の不調を抱えやすい世代です。こうした更年期症状の多くは自律神経の乱れが関わっており、睡眠が症状緩和のカギを握っています。
「更年期世代は、眠りが浅いなど睡眠のトラブルを生じやすく、寝不足を含めて睡眠の質が下がることで、更年期症状が悪化するとも考えられます。十分に睡眠をとれるようになれば、自律神経が整い、体調は改善していくでしょう」
知っておきたい睡眠3カ条
● 寝不足で心身の健康が損なわれる
● 「質」より「量」を重視する
● 睡眠は貯金できない
〈監修/柳沢正史 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉
柳沢正史(やなぎさわ・まさし)
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授、医学博士。31歳で渡米し、24年間にわたり米国で研究室を主宰。睡眠を制御する「オレキシン」の発見者。米国科学アカデミー正会員。紫綬褒章、朝日賞、文化功労者、ブレークスルー賞など受賞多数。『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)監修。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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