(『天然生活』2025年8月号掲載)
よく眠るには睡眠を妨げる要素を減らすことが大切
質のよい睡眠とは、スムーズに入眠し、深いノンレム睡眠とレム睡眠が安定して繰り返されて、目立った中途覚醒がなく起床を迎えた状態を指します。睡眠の状態は、主観では判断しにくいものの、睡眠の質を下げる要因を排除していく減点法で、眠りは改善できます。
「光、音、温度に気を配って快適な寝室環境を整え、カフェインやアルコールの摂り方も注意が必要です。夜の過ごし方で気をつけたいのは、明るさ。日本の住宅は照明が過剰に明るい傾向があり、体が眠る準備を整えにくいのです」
女性でも40代以降は睡眠時無呼吸症候群に要注意。女性ホルモンが減少すると、首や喉まわりに脂肪がつきやすくなるためです。
「睡眠時無呼吸症候群は眠りの質を著しく低下させ、脳卒中や心臓発作など重篤な疾患のリスクを高めます。男性に多いイメージがありますが、更年期以降は女性でも増えていきます。他人事と思わず、一緒に寝るパートナーに確認してもらうか、8時間以上寝ても眠い、疲れが取れないといった症状がサインになることもあるので、頭に入れておきましょう」
自分の睡眠を“見える化”する
「よく眠れた」「眠れなかった」などの睡眠の実感と、脳波で見る睡眠の状態は異なることが多く、「睡眠の主観はあてにならない」と柳沢さん。睡眠を客観的に“見える化”することは、睡眠改善に大いに役立ちます。
自宅で気軽に脳波を測定するサービス、インソムノグラフなら、アプリやスマートウォッチよりも正確に睡眠の状態を診断でき、睡眠時無呼吸症候群のチェックも可能です。眠りの悩みを抱えている人にも。
十分に眠れている人と眠れていない人はこんなに違う

睡眠には、脳のメンテナンス、記憶の定着、免疫システムの強化、細胞の修復など、さまざまな役割がある。よく眠れている人は、心身が健やかに保たれる
睡眠の妨げを減らすチェックリスト
□ 寝室が朝まで適温
□ 夏でも薄手のものを1枚掛けて寝る
□ 涼しい素材のパジャマに着替える
□ 起きる時間まで寝室を暗く保つ
□ 夕方以降の仮眠(寝落ち)は厳禁
□ パートナーとは布団を分ける
□ 寝室は静かにする
□ 夜過ごす部屋の照明は暗めに
□ 寝る前のルーティンをつくる
□ 寝る1~2時間前までに湯船にゆっくり浸かる
□ 夕食は寝る4時間前までに済ます
□ 寝る6~8時間前からはカフェインを摂らない
□ 寝酒をしない
□ 寝る前にSNSやショート動画を見ない
□ 寝る前に深呼吸をする
□ 寝る前に軽いストレッチをする
〈監修/柳沢正史 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉
柳沢正史(やなぎさわ・まさし)
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授、医学博士。31歳で渡米し、24年間にわたり米国で研究室を主宰。睡眠を制御する「オレキシン」の発見者。米国科学アカデミー正会員。紫綬褒章、朝日賞、文化功労者、ブレークスルー賞など受賞多数。『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)監修。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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