• 食欲が落ちがちな夏。料理研究家の今泉久美さんに、夏の不調に働きかける栄養素と食養生のポイントを、栄養士の視点から教えていただきました。スープやドリンクで上手に栄養補給するコツを紹介します。
    (『天然生活』2025年8月号掲載)

    食が進まない暑い夏は、ジュースやスープで栄養を取りれて

    暑さで食が進まない夏、体力は落ちるばかりです。深刻な夏バテに陥る前のこの時季にこそ、ぜひ取り入れたいのが、手軽につくれる栄養豊富なドリンクやスープ。

    「もちろん、本来はしっかりかんで消化吸収をよくして、栄養を摂りたいところ。けれど、食べる気が起きないときは食欲のアップするジュースやスープを取り入れて、水分や栄養を補いつつ献立を整えるといいですね」と話すのは、料理研究家の今泉久美さん。

    栄養士の視点から代表的な夏の不調に対処するさまざまなレシピを考案し、食物が持つ栄養素で、夏の体を健やかに保ちます。

    3食欠かさず食べて、夏バテ知らずの体に

    夏場になると、朝・昼・夜の食事のリズムがくずれ、朝食を抜く人が多いのも問題です。

    「朝食に主食、タンパク質、野菜をバランスよくいただくことで体温が上昇し、午前中から活動しやすくなります。朝、きちんと食事をとることは、1日を元気に過ごすためには欠かせません」

    昼は暑さから料理が面倒になり、つい、そう麺だけで肉や野菜なども入れずに一品だけで済ませがち。実はこれも、体力が落ちる原因のひとつになるのだとか。

    画像: 3食欠かさず食べて、夏バテ知らずの体に

    「そのような食事が続くと、おのずと栄養が偏って不調を呼びます。体を健やかに保つためには、多くの種類の栄養素をバランスよく摂ることが必要。口あたりのよいジュースで栄養を補給するにしても、さまざまなものをプラスすると効率がいいですね。今回紹介するドリンクは、材料をハンドブレンダーで混ぜるだけで簡単。これらでまず準備運動的に胃を動かした後で、食事をとるのもおすすめです」

    また、軽くでもいいのでそれぞれの食物が持つ栄養素の効果を知っておくと、不調に合わせて口にするべき食材がわかるように。

    「たとえば、豆乳や牛乳は疲労回復を促すタンパク質に加え、同様の効果があるビタミンB2も摂取できます。炎症を抑える効果を持つβ-カロテンを多く含むかぼちゃは、シミ予防の効果も。熱中症気味なら、塩を少量加えることで、汗で流れ出たナトリウムやカリウムなどの電解質を補給できます。今回のレシピは、ハーブや薬味、ナッツの風味などを活用し、暑いなかでも食欲を誘う工夫を凝らしました。夏バテ予防のために、ぜひ取り入れてくださいね」

    画像: 「血流をよくして免疫力を上げてくれるパクチーもよく食べています」

    「血流をよくして免疫力を上げてくれるパクチーもよく食べています」

    画像: 夏を元気に過ごすために、今泉さんがよく口にするのがさわやかなミント緑茶。急須に茶葉とミント1~2本を入れ、熱めのお湯で淹れる

    夏を元気に過ごすために、今泉さんがよく口にするのがさわやかなミント緑茶。急須に茶葉とミント1~2本を入れ、熱めのお湯で淹れる

    夏バテ予防に働きかける栄養補給のポイント

    【熱中症】

    水分、ミネラル分、塩分を補給するために、きゅうり、すいか、メロンなどのカリウムが多いウリ類に少量の塩分を足すのがおすすめです。また、ゴーヤーやかぼちゃ、ピーマンなどに多く含まれるビタミンCやβ-カロテンには、体内の炎症を抑える効果が。抗酸化作用の高いトマトやモロヘイヤ、おくらなどをとるのもいいでしょう。

    【冷房病】

    冷房による冷えからくる不調を防ぐには、筋肉を増やして体温を一定に保つことが有効。そこで必要なのが、タンパク質です。赤身の肉、魚類、ごま、アーモンドなどのナッツ類、納豆や豆腐などの豆類を欠かさずとりましょう。また、モロヘイヤやおくらなどのネバネバ成分を持つ食品は、消化吸収をサポートします。

    【食欲不振】

    食欲を誘う香りを持つ食材を、積極的に取り入れて。香辛料をはじめ、にんにく、みょうが、しょうがなどの薬味類や、ミントなどすっきりとした香りのハーブもいいでしょう。大根おろし、長いも、パイナップルやキウイフルーツなどの消化を助ける食材も合わせて口にすれば、胃の負担を軽減しながら栄養を摂れます。

    【疲労回復】

    疲れをとるならビタミンB群を意識して。雑穀類、ナッツ類、ごま、豚肉や牛肉などにはビタミンB1が、牛乳や豆類、豚肉などにはビタミンB2が、脂肪の少ない赤身肉や鶏肉、かつお、バナナやアボカドにはビタミンB6が多く含まれます。また、鶏むね肉やかつおに多く含まれるイミダペプチドも疲労回復に高い効果があるとされます。



    〈撮影/林 紘輝 取材・文/福山雅美〉

    今泉久美(いまいずみ・くみ)
    料理研究家・栄養士。女子栄養大学を卒業し、現在は同大学栄養クリニック特別講師も務める。おいしさに加え、栄養学の視点も考慮したレシピが好評。著書に『栄養士が食べている作りおき献立』(文化出版局)など。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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