• 雑草料理研究家・前田純さんに、身近な野草の見分け方や、おいしく食べるコツを教えていただきました。今回は、香り豊かでクセが少なく食べやすい「キンミズヒキ」を紹介します。古くから食用として親しまれてきた野草で、若葉や若い茎、花を料理に利用できます。特徴や旬、おすすめの食べ方をお届けします。

    香り豊かでクセがなく食べやすい
    キンミズヒキ

    画像: 香り豊かでクセがなく食べやすい キンミズヒキ

    バラ科キンミズヒキ属 多年草
    金水引 Agrimonia pilosa

    高さ30~80cmほどになる多年草で、日当たりのよい野原や林縁、道端などで見られ、日本全国に広く分布する。

    細長い花穂をタデ科のミズヒキに見立て、黄色い花を祝い事に使われる金色の水引になぞらえたことから、この名前がついたといわれる。

    群生することも多く、一度見つけるとまとまった量を採取しやすい。花期は7〜9月ごろで、細長い花穂に小さな黄色い花を次々と咲かせる。

    春から初夏に伸びる若葉や若い茎、花を食用に利用できる。若葉は春から初夏が最も食べごろで、花が咲く前に採ると苦味が少なく、葉もやわらかい。

    若葉はしそを思わせるが、しそほど強くないさわやかな香りがある。ゆでるなどして加熱をしてもさわやかな香りが残るため、料理のアクセントとしても楽しめる。

    野草のなかでも食べやすい味で、ほのかな苦味はあるもののクセは少なく、普段の食材とも合わせやすい。

    葉や茎には毛があるため、さっとゆでたり炒めたりすると、より口あたりがよくなる。

    おひたしやあえもの、混ぜごはんのほか、若い花穂はてんぷらにしても彩りと香りが楽しめる。

    あく抜きもあまり必要ないため、乾燥させた葉や花は野草茶としても親しまれ、穏やかな香りと飲みやすさから、毎日の暮らしにも取り入れやすい。

    生薬名は「竜牙草(りゅうがそう)」で、民間では、下痢止めや胃腸の調子を整えるために利用されてきた。

    また、口内炎やのどの痛みにはうがい薬として、湿疹やかぶれには湿布として使われたほか、地域によっては、疲れをいやすための薬草風呂にも用いられてきたとされる。

    近年は含有成分のアグリモール類に注目が集まり、老化細胞除去作用を示す可能性について研究が進められている。

    キンミズヒキの豆知識

    花後にできる実は「ひっつき虫」である。実にはカギヅメ状の刺が多数あり、動物や衣服に付着して運ばれ、分布を広げる。子どものころに服へ付けて遊んだ記憶のある人もいるかもしれない。

    おいしい時期

    3〜9月

    生育場所

    道端・畑地

    分布

    北海道・本州・四国・九州

    おすすめ調理法

    ・サラダ
    ・ゆでる
    ・煮る
    ・揚げる
    ・炒める

    利用部位

    花、葉、茎

    注目の栄養分

    ・アグリモール類
    ・タンニン
    ・フラボノイド

    見分け方のポイント

    全体に毛が多く、葉や茎は触るとやや粘り気がある。茎はまっすぐ立ち上がる。群生すると葉が重なり合うように茂る。

    画像1: 見分け方のポイント

    葉は奇数羽状複葉で、1枚の葉の中に大きな小葉と小さな小葉が交互に並ぶ。黄色い5弁花を穂状につけ、おしべは12個、めしべは2個ある。

    画像2: 見分け方のポイント

    「キンミズヒキ」のおいしい食べ方

    若葉としめじをさっとゆで、水けをきってすりごま、しょうゆ、砂糖であえる。

    しめじのうま味が加わり、ほのかな苦味もやさしく食べやすい一品になる。

    画像: 「キンミズヒキ」のおいしい食べ方

    ※出典:熊本大学薬学部薬用植物園「キンミズヒキ」
    ※野草には、食用の植物と見分けにくい有毒植物があります。食用と確実に判断できないものは、採取したり食べたりしないでください。採取の際は、土地の所有者や管理者の許可を得て、農薬や除草剤が使われている場所、道路沿いなど汚染のおそれがある場所は避けましょう。採取したものはよく洗い、適切に下処理・加熱してから食べてください。食後に体調の異変を感じた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
    ※薬用に関する記述は、伝統的な利用法を紹介するものであり、効果・効能を保証するものではありません。病気の予防や治療を目的に、自己判断で使用しないでください。



    <写真・文/前田 純>

    前田 純(まえだ・じゅん)
    1982年8月、石川県生まれ。雑草料理研究家。京都大学農学研究科農学専攻雑草学研究室で雑草学を学び、在学時より、NPOや野外調査等にて雑草を題材として、ダッチオーブンや七輪等を用いて料理を行う。2015年2月に合同会社つむぎてを設立。休耕田や耕作放棄地で無農薬・無化学肥料の雑草を栽培して、食品や化粧品を販売している。

    * * *

    『おいしい雑草図鑑』(前田純・著/扶桑社・刊)

    画像: 雑草料理研究家に聞く、おいしい雑草「キンミズヒキ」の食べ方。見分け方のポイントや“香り”を楽しむおすすめの一品も/前田純さん

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    【CONTENTS】
    ● 雑草をおいしく食べる基本の調理法
    ● 採取の服装、道具と採取の方法
    ● Part.1 道端・あぜの雑草
    ● Part.2 野原・畑地の雑草
    ● Part.3 荒地・河川敷の雑草
    ● Part.4 水田・湿地・海岸の雑草
    ● Part.5 林縁・林内の雑草
    ● Part.6 毒草



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