83歳の多良久美子さん。息子は最重度知的障がい、娘は早逝……。苦労の多い暮らしのなかでも、家事に「仕事」として張り合いをもち、家の中で小さな楽しみを見つけながら、50年間過ごしてきました。“常に効率重視 ”という多良さんのほどよく手間を省く料理の工夫と、お気に入りの「せいろ蒸し」を教えていただきました。
(『83歳の私を支える家仕事』より)
効率化をあれこれ工夫するのが楽しい
家事は、できるだけ効率的にしたいと思っています。6人家族の頃は、効率的にこなさないと、家の中が回りませんでした。3人家族の今でも、5分でも早く終わらせたい、手順をひとつでも減らしたいと、より効率的にすることを常に考えています。
とくに、料理は効率的にしたいです。ほぼ毎日3食自炊なので、ていねいにつくっていたら1日中キッチンに立つような生活になってしまいます。そうはしたくないです。

料理は好きですが、他にしたいこともたくさんあるのです。最近よくするのが、せいろを使った蒸し料理です。若い人の間で流行っていて、せいろが安く購入できると知って、「私もやってみよう」と思いました。
肉や野菜を一緒に蒸し、そのまま食卓に出せるので、調理の手間も洗い物も減って時短になります。
そのうえ、野菜もたっぷり食べられるし、油も使わずヘルシーです。高齢者にもぴったりのメニューですね。
それから、スープや味噌汁が簡単につくれるように、自家製汁物の素をつくっています。
つくり方は簡単で、冷蔵庫に余った野菜をフードプロセッサーにかけ、保存袋に入れて冷凍するだけ。凍ったまま鍋に入れて5分ほど煮れば、汁物が完成します。
それから、材料を入れるだけでスープが完成する家電、スープメーカーを購入したので、ポタージュが手間なしでつくれるようにもなりました。
毎日している料理だからこそ、時々、新しい調理器具を取り入れたり、やり方を変えたりして効率アップになると、うれしくなります。
モチベーションアップにもなりますね。効率化を考えるのは、家事を仕事ととらえているから。金銭の報酬を得る仕事の場合は効率化は当たり前ですが、私はそれを家事にも導入しています。
やるべき仕事はできるだけ早く終わらせて、浮いた時間は趣味や楽しいことに使いたいと思います。
それに、効率化のために頭を使うことは、認知症予防のために役に立っているかもと、ひそかに期待もしています。
本記事は『83歳の私を支える家仕事』(すばる舎)からの抜粋です
〈撮影/林ひろし〉
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家の中は創造性にあふれている
いつも元気で溌剌とした83歳・多良久美子さんは、家事を「仕事」と呼びます。「仕事」と思うことで張り合いが出て、創意工夫する楽しさが生まれる。毎日尽きることなく家仕事は発生します。「何にもすることがない」というシニアの方も多いけれど、今日、するべき家仕事や、朝起きる理由がある。それに家仕事はした分だけ、おいしいご飯が食べられたり、きれいな部屋で過ごせたり、ちゃんと見返りがある。頭も体も使い、もってこいのエクササイズにも。障害のある子がいて外出のままならなかった久美子さんが、長年培ってきた「家の中を最高に楽しい場所にする」方法を伝授します。
多良久美子(たら・くみこ)
昭和17年(1942年)長崎生まれ。8人きょうだいの末っ子。戦死した長兄以外はみな姉妹。2歳のときに被爆。翌年母を癌で亡くし、父と姉たちに育てられる。高校生のときに父の会社が倒産し、進学を断念。24歳で結婚後、4歳で麻疹により最重度知的障がいとなった息子を育てる。娘は早逝。80歳を前に、長く携わってきた社協の仕事を引退、「障がい児・者の親の会」は相談役に。「これからは私の時間!」と、これまで忙しい日々で細切れにしかできなかった趣味の織り物やピアノに、どっぷりつかる日々。料理やインテリアなど「家時間」を楽しむのが好き。姉は、12万部のベストセラー『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(すばる舎)の多良美智子さん。著書に『80歳。いよいよこれから私の人生』がある。
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