栗の滋味あふれる味と香りを、氷砂糖で引き立てる
「栗」は秋の季語。ころんと丸い形もかわいらしく、古くから多くの句や歌に詠まれてきました。トゲのあるイガに、かたくつややかな鬼皮。
大切に守られている種の部分が、栗の実にあたります。ほっくりした食感に、ほんのりとした甘味。そして力強い香り。和洋問わず、料理にもお菓子にも活用できる、懐の深い食材です。
「高校の3年間は長野に暮らしたので、小布施まで父とドライブして栗ごはんを食べた思い出がありますね。当時の小布施はいまほど栗の里としてにぎわっていたわけではなく、のどかな秋の風景でした」と栗のエピソードを語る、飛田和緒さん。

いまも秋がくると、栗の保存食をつくるのが恒例行事。今回教えてもらった栗クリームも、飛田さんの定番です。
「栗クリームと栗の甘露煮をたくさん仕込んで冷凍し、お正月のおせちに使うんです。栗だけでつくる栗きんとんは、おいしいですよ」とにっこり。
栗を煮るときに活躍するのが、氷砂糖です。
「氷砂糖を使うと溶けやすいので、加熱を短時間ですませられるのが魅力です」
氷砂糖らしいクリアな甘味が栗の風味を引き出し、余韻もすっきり。栗の滋味深さを存分に味わえる、上品な仕上がりになります。
氷砂糖を使った
栗クリームのつくり方
主な材料は栗と氷砂糖だけ。栗の香りがストレートに伝わる栗クリームは、アイスクリームに添えたり、生クリームとともにパンケーキにのせたりと、アレンジ方法も多彩。秋の食卓をぐっと豊かにしてくれます。
栗の皮をひとつずつむく作業は、意外と骨が折れるもの。ですが飛田さんのつくり方は、包丁でまるごとゆでた栗を半分に切り、スプーンでくり出すだけ。渋皮も鬼皮の中に残るので、手際よく中身を取り出すことができます。

栗を氷砂糖で煮るときのポイントは、水分量。
「氷砂糖が溶けて水分が出てくるので、それを見越して最初から水を入れすぎないこと。氷砂糖が溶けにくいくらい煮詰まってきたら、大さじ2ずつ水を足して。弱火でときどきかき混ぜて、じっくり火を入れながら氷砂糖を溶かしていきます」
栗によって水分量が異なるので、鍋の中をよく見て、煮詰まっていたら水を足す、ゆるければ煮詰める。細やかに調整するのが大切です。
煮上がったものをマッシャーで粗くつぶすと栗の粒がほどよく残り、やさしい味わいに。なめらかな仕上がりが好みなら、マッシャーを使う代わりに裏ごしをするとよいそうです。
材料(約1kg分)

| ● 栗(鬼皮も含めた総量) | 1kg |
| ● 氷砂糖 | 300~350g |
| ● 好みでラム酒やブランデー | 適宜 |
基本の分量 1:2(氷砂糖:栗の正味量)
下準備
● 保存容器を煮沸消毒またはアルコール消毒する。
つくり方
1 鬼皮付きの栗はよく洗う。鍋にたっぷりの湯を沸かし、栗を入れてふたをする。ぐらぐらと吹きこぼれない程度の火加減で30分ほどゆでる。串を刺してすっと通ったらざるにあげる。刺さらないときには10分きざみで串を刺して確認する。

2 熱いうちに鬼皮ごと半分に切る(やけどに注意)。中身をスプーンで取り出し、重量を量る。栗の正味量の半分の重さの氷砂糖を用意する。

3 大きめの鍋に2と水1カップを入れ、中火にかける。ふつふつとしてきたら弱火にして、氷砂糖が溶けるまで15~20分煮る。途中で水分が足りなくなったら、大さじ2ずつ水を足す。煮上がりに水分が多い場合は、木べらで鍋底に線を引いたときにあとが残るかたさまで煮詰める。


4 熱いうちにマッシャーでつぶし、好みでラム酒またはブランデー少々を合わせる。

5 粗熱がとれたら清潔な容器に入れて保存する。
保存期間:冷蔵庫で2週間、冷凍庫で3カ月保存可能。
飛田さんのひと工夫
●栗は鬼皮ごと切り、スプーンで中身を出すことで皮むきが簡単になる。
●ゆでた栗は冷めると皮がかたくなって切りづらくなる。ある程度の熱がとれ、ゴム手袋や軍手をつけて触れる熱さのうちに切る。
栗クリームを使ったアレンジレシピ①
栗クリームトーストのつくり方

こんがり焼いた食パンに栗クリームとバターをぬったトーストは、秋の朝食やおやつにぴったり。栗の香りと味がストレートに伝わり、香ばしいパンと一体となって、栗のスイーツを食べている気分になります。
栗クリームはすっきりした甘さなので、お好みでたっぷりぬって味わって。
材料(2人分)
| ● 食パン | 2枚 |
| ● バター | 適量 |
| ● 栗クリーム | 適量 |
つくり方
1 食パンはトーストし、熱いうちにバターをぬる。その上に好みの量の栗クリームをぬる。
※バターはパンにぬらず、厚切りのものを栗クリームの上にのせるだけでもよい。

栗クリームを使ったアレンジレシピ②
栗クリームとチーズの茶巾のつくり方

まるで大きな栗のような、かわいい見た目。クリームチーズのミルキーさとほんのりとした塩けが、甘い栗クリームと溶け合います。
「厳密に計量しなくても、目分量で食べたいバランスでつくればいいんですよ。クリームチーズの塩けがあるので、おつまみにも。ハイボールともよく合います」
材料(2人分)
| ● 栗クリーム | 70g |
| ● クリームチーズ | 30g |
つくり方
1 ラップを20cmほどの大きさに切り広げる。中央に半量のクリームチーズと半量の栗クリームをのせ、茶巾を絞るように包む。これを2つつくる。

2 冷蔵庫で10分ほど落ち着かせてから、ラップをはずして器に盛る。
もっと氷砂糖のレシピを知りたい人は
全日本氷糖工業組合 | 旬の果実でおいしく楽しい氷砂糖
氷砂糖でくらしをもっとカラフルに。梅酒づくりでおなじみの氷砂糖は、じつは梅以外の果実とも相性Good。色とりどりのフルーツを使って手づくりを楽しめる氷砂糖の世界、あなたものぞいてみませんか。
飛田和緒(ひだ・かずを)
料理家。神奈川の海辺の街に暮らし、ていねいな生活から生まれる料理を提案。さりげなさの中にセンスが光るレシピに定評があり、著書は100冊を超える。著書に『くりかえし料理』『別冊天然生活 飛田和緒さんの四季を味わうごはんと暮らし』(ともに扶桑社)など。ベストセラーの『常備菜』シリーズの最新刊『麺』(主婦と生活社)が2026年9月に発売。
〈料理/飛田和緒 撮影/山川修一 取材・文/河合知子〉
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協力/全日本氷糖工業組合
http://www.hyoutou-kumiai.jp/tezukurilife/
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