<スペシャルゲスト>
竹部吉晃 『昭和40年男』編集長。1967年、東京・下町生まれ。ビートルズの研究とコレクションを40年以上続けるビートルマニア兼、マンチェスターユナイテッドサポーター歴30年のフットボールウィークエンダーのほか、諸々のサブカル全般に興味ありの原田真二原理主義者。
昭和40年男:https://heritage-onlineshop.com/pages/showa-40/
<座談会メンバー>
山西裕美 web制作会社所属の編集・ライター。幼いころから音楽に親しみ、「YMOの誰かに会いたい」という理由で編集者を志す。大学卒業後、出版社に入社しティーン雑誌の編集に携わる。現在は雑誌、書籍、webなどの企業取材、音楽、映画などの編集・ライティングを担当。好きな音楽のジャンルはハードロック、ヘヴィメタル、プログレッシブ・ロック、パンクロックなど。初めて買ったレコードはピンク・レディーの『渚のシンドバッド』。
川添大輔 団地と鉱物をこよなく愛する天然生活編集部員。音楽に目覚めたのは大学生になってからで、昭和歌謡を「発見」して楽しんでいる。昭和歌謡以外で最近よく聴いているのはTom Misch、toe、Spangle call Lilli line、ハイスイノナサ、中村弘二など。
笠原みなみ 天然生活webの編集部員。古い音楽や映画のほか、歴史的建造物や喫茶店、町中華、銭湯など「昭和」の香り漂う文化がとにかく好き。音楽は大滝詠一やムーンライダーズなど古い日本ロックからジャズ、ヒップホップにハロプロまで幅広く雑多に好む。
さまざまなジャンルを習得する器用さ、進化し続ける音楽性が魅力
川添 そんなすごい原田さんですが、どうしてテレビにはあまり出演されなくなったんでしょうか?
竹部 本人の音楽志向がロック寄りになり、アーティスト志向になったので、ヒットするというよりも自分のやりたい音楽を届けるという方向にシフトしたのかなという気がします。いきなりデビューであれだけの成功を収めたら、次に向かうのはやっぱり自分の音楽の追求だと思うんですよね。
川添 最初にこちらをクリアしちゃったら、次はどこに行くんだという話ですよね。
竹部 プロとしてデビューした以上、売れることを目指すわけで、いきなりそれができちゃったからバランスが取れなくなっちゃいますよね。あとは本人が器用すぎるというところもありますね。最初はポップスで次ロックやって、アメリカから帰ってきたらちょっとダンス寄りになっていくんです。そうなるとどれが原田真二さんなのかつかみにくい部分が出てきますよね。いままで聴いていたファンからしても戸惑いが生まれたのもあると思います。

山西 原田さんはそもそも、どんなアーティストに影響された人なんですか?
竹部 基本はエルヴィス・プレスリーなんですけど、スティーヴィー・ワンダーとかポール・マッカートニー、エルトン・ジョンはあると思います。ブラックミュージックの影響とビートルズっぽいポップスの影響がすごい融合されていて、80年代になるとそこにマイケル・ジャクソンやプリンスとか出てくるんですけど、そういうアーティストの影響もすごく感じる曲はありますね。
川添 竹部さんはいつから、いつから原田さんの研究を始めたのですか?
竹部 真二さんがテレビに出なくなっていくのと同時に僕も同じように音楽とも疎遠になっていくんです。そして1983年に、たまたまレコードショップで原田真二さんのベスト盤を見つけるんですよ。
山西 そのころ、ちょうど『愛して、かんからりん。』という歌がスマッシュヒットになりませんでしたか? 和製ポップスという感じでいい曲だった。
竹部 僕がベスト盤を見つけるのは、そのちょっと前ですね。「あれ、自分は原田真二好きだったよな」と思って買ってみたんです。それを聴いたらすごくよくて、こんなにすごいミュージシャンだったんだと再認識するんですよ。ちなみにそのとき同時に買ったのが佐野元春さんの『No Damage』というベストアルバムで、これもすごいいいアルバムなんですけど。
山西 よく考えると後に佐野元春さんのバックバンド、ザ・ハートランドで活躍するドラマーの古田たかしさんは、原田真二&クライシスにいたわけですよね。
竹部 その話をすると長くなりますから、また今度(笑)。それで、そのときに家に帰ってレコードを聴いて、「これは日本のポール・マッカートニーだ!」とびっくりしたんですよね。そこから研究が始まるわけです。
川添 早いですね、高校生から。
竹部 そのころはザ・ビートルズが好きになっていて、研究といっても「原田真二の曲がザ・ビートルズ、もしくはポール・マッカートニーのどこに影響されているのか?」と勝手に想像を働かせていくようなレベルです。自分のなかで何か結論づけていくだけなんですけどね。

『昭和40年男』2020年12月号(クレタパブリッシング)の日本ロック特集は、原田真二さんが表紙に
川添 竹部さんが原田さんと実際にお会いしたのは何年くらいなんでしょうか。
竹部 僕が最初に出版業界に入ったのが1989年だったんです。音楽業界誌のスタッフだったんですが、先輩から「今日原田真二のライブに行くぞ」といわれて。それまでもファンとしてチケットを買って何回か行ってたんですけど、1989年に初めて仕事で行ったんです。ライブが終わったあとの楽屋あいさつで初めてお会いして「僕、ファンなんです」といったんです。それから間もなくしてことあるごとに「原田真二が好きだ」「原田真二は天才だ」と会う人すべてにいっていたんですが、それがイベンターさんの耳に入り、連絡が来て「原田真二さん本人が竹部さんに会いたがっている」と。そういわれて会いに行ったのは1996年。1998年に『URBAN ANGELS』というスタジオアルバムが出るんですけど、そのときのチラシのたたき文句とかキャッチコピー、宣伝文句とか全部僕が書きました。2002年にはベストアルバムの『GOLDEN BEST』が出るんですが、これは選曲もしています。
笠原 もうすっかり“中の人”になっているんですね。
竹部 でもやはり、真二さんは天才なんで、何度会ってもいまだに緊張しますよ。たぶん緊張はずっと抜けないでしょうね。
川添 原田さんはいまも新しいものにどんどん影響を受けて進化している方なんですね。もっともっといまの若い世代の人たちにも聴いてほしいですよ。『昭和40年男』では大きく取り上げたことはあるんですか?
竹部 あります! 研究家としての知識を活かしてつくりました。どこかで見かけたらぜひ読んでください。そして、原田真二さんはライブも定期的にやっていますので、ぜひ来てほしいですね。ヒット曲はすべて聴けると思いますので、ぜひ天才がつくり出す世界を体感してほしいです。
【原田真二さんライブのお知らせ】
「49周年ライブ」
11月6日(金)新宿ReNYにて、デビュー49周年ライブ「"Take Your Step!"~49th Anniversary Live~」を開催予定。
詳しくは、原田真二さんオフィシャルホームページにてご確認ください。
〈撮影/林 紘輝 構成・文/山西裕美〉
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