(『天然生活』2025年12月号掲載)
毎日の小さな息抜き。読書時間を支える地下の図書室
料理家の飛田和緒さん宅には地下室があり、壁一面が書棚になっています。ぎっしり並んでいるのは、子ども時代の愛読書や何度も手に取ってきた作品、これから読もうと思っている本など。
「音楽家だった前の家主がスタジオとして使っていた部屋で、もとはCDが並んでいた棚です。地下室は書庫にするつもりだったのに、味噌や梅干しなどの保管庫も兼ねた倉庫のようになっています」

味噌や梅干しなどの保管庫も兼ねた地下の書庫。既読と未読が収まっている。ここで読書することも
父親が本好きで贈りものは必ず本だったそう。熱心な本読みではないと謙遜しますが、子どものころから本は身近でした。小学生時代は江戸川乱歩の推理小説に夢中になり、中学では国語の先生からの影響も多いに受けたといいます。
「教科書ではなく本で授業をする先生でした。あの先生との出会いがなければ、森鷗外や大好きな三浦綾子さんの作品を読むことはなかったかもしれません」

友人や仕事仲間と集まってつくった味噌は、参加者の分も書庫で保管。年中エアコンを入れて、味噌にも本にもよい環境
人からの薦めで本の世界が広がっていくのは、大人になってからも同じです。最近では、友人に薦められた朝井まかてさんの作品を何冊も手に取っています。
「周りに読書家が多く、私が好きそうな本を教えてくれるんです。凝り性なので気に入ったらその作家の作品を追いかけ、新刊が出ると飛びついて読んでいます」
読書をする時間が、忙しい毎日の気分転換に
本を読むのは、移動中を中心に、仕事の合間や夜も。忙しくても、なるべく本に手を伸ばします。
「自宅で仕事をしていることもあり、気持ちの切り替えが難しいんです。読書に集中する時間をつくることで気分転換になりますし、ストレス発散にもなっています」
本は相棒で、バッグの中に入っていないとさびしいそう。仕事で文章を書くときも、まずは好きな作家の本を読み、リズムを取り込んでから書き出すのだとか。
「寝室にも本棚があり、これ以上、本を増やしちゃいけないと思ってはいるんです。でも本屋さんを回るのも楽しいですし、気になる本は買ってしまいます。本の重さ、紙の手触り、ページをめくる感じもいとおしいので、目で文字が追えるうちは読みつづけたいですね」

リビングに置かれた娘さんのピアノ。すぐ手に取れるようにと、友人から薦められた本や、娘さんが取り組んでいるお芝居の資料本などが置かれていた

海が望めるリビングの窓際に置かれたソファ。仕事の合間や夜のくつろぎの時間に、ここで画集を開いたり本を読んだりしている





