(『季節を味わう 保存食手帖』より)
煮沸について
保存食は基本的に、煮沸消毒した容器に保存します。ビンなどの保存容器を15分ほど煮て、乾いたふきんの上で乾燥させ、消毒します。
ビンの種類にもよりますが、熱湯に急に入れると割れてしまうものもあるため、ここでは、水から徐々に温めていって煮沸する方法をとっています。保存容器の使用方法をよくご確認のうえ、作業してください。
ジャムなどの場合は、煮沸消毒したビンに詰めてふたをしたあと、熱湯で15分ほど煮てからふたを強く閉め直して裏に返して冷まし、脱気します。
基本的な煮沸の方法
1 大きめの鍋にたっぷりの水を入れ、ビンとふたを沈めて火にかける。沸騰したら火を少し弱め、15分ほど煮る。
2 菜箸等で引っ掛けるようにして取り出す(トングなどでもよい)。
3 ふきんやざるの上に裏返して置き、水気をきる。手で触らないようにする。
大きなビンの場合
大きなビンの場合、全体を水に沈められる大きさの鍋がないことも。その場合も上記同様、鍋にビンと水を入れて、徐々に温めて。ふつふつとしたら、玉じゃくしでビン全体に熱湯をかけたり、ビンを返して全体を煮沸する。
事前に煮沸する場合
思い立ったときにいつでもビン詰めできるよう、時間があるときにまとめて煮沸消毒しておくのもおすすめ。煮沸したビンが乾いたら、清潔なポリ袋に入れて保管しておく。
脱気について
煮沸したビンにでき上がったジャムやソースを入れたら、脱気をします。
ビンから中の空気を追い出すことで、長期保存が可能になります。中身の色が少し濃くなる場合もありますが、これも安心のため。
脱気がうまくいったか見分ける方法はふたの真ん中あたり。ここがペコリと凹んでいたら、空気が抜けた証拠です。逆に保存中にふたがふくらむことがあれば、空気が入った可能性がありますので、すぐに開けて確認を。
なおジャムを入れる容器は、ビンは何度も使えますが、ふたはパッキンが古くなると劣化し、密封ができなくなるため、新しいものを使うのがおすすめです。
煮沸、脱気ともに熱湯を使い、熱いジャムやソース、熱いビンを扱います。くれぐれもやけどなどに注意しながら、作業をしてください。
基本的な脱気の方法
1 でき上がったジャムが熱いうちに、煮沸消毒したビンに入れる。量はビンのふちよりもほんの気持ち少ないくらい、95%くらいは入れること。ロートを使うと、ビンの口の周囲につかなくていい。
もしついたらアルコールを含ませたペーパータオルでふき取って。
2 ビンのふたを閉める。ここではきつく閉めなくてもよい。
3 煮沸消毒をする。ビンを鍋に入れて、ふたの2cm下くらいまで水を注ぎ、火にかける。沸騰したら弱火にして、15分ほど煮る。ここで中の空気が少しずつ抜ける。
4 煮沸するとふたがゆるむので、やけどしないように、ふきん、軍手、厚手のゴム手袋などを使って、ビンを取り出し、熱いうちにふたをかたく閉め直す。
5 ビンを裏に返して、冷めるまでおく。
本記事は『季節を味わう 保存食手帖』(扶桑社)からの抜粋です
〈撮影/広瀬貴子〉
飛田和緒(ひだ・かずを)
1964年、東京生まれ。高校3年間を長野で過ごす。現在は、海辺の街に夫、娘とともに暮らす。祖母の料理から引きついだ東京の味、母や友人によって知った長野の味、自身が暮らす湘南の味、その土地ごとの味と素直に向き合いながら、日々の食卓で楽しめる家庭料理、保存食をつくり続ける。近著に『おとなになってはみたけれど』『くりかえし料理 』(ともに扶桑社)。
Instagram:@hida_kazuo
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