• いつも笑顔で、元気に過ごしている方々の暮らしの秘訣とは? ふだんから実践している7つの習慣とともに、心と体の整え方を伺いました。今回は、洋服ブランド「群言堂」デザイナー、松場登美さんに聞く「7つの習慣」のうち、1〜3の習慣をお届けします。
    (『天然生活』2017年7月号掲載)

    人との出会いが一番のエネルギー源に

    ひとところでじっとしていることがなく、いつもどこかへ足を運び、手を動かす。「ぼーっとしている時間は、ほとんどないですよ」と、松場登美さんは言い切ります。

    洋服ブランド「群言堂」のデザイナー業をこなし、宿泊施設「他郷阿部家」の女将としても働く松場さんにとって、いつも動いているのは当たり前の様子。

    「大層なことをしてるわけじゃないのにページになる? 私、普通のことを当たり前にやってるだけなんですよ」と笑います。

    画像: 野の花が迎えてくれる「他郷阿部家」

    野の花が迎えてくれる「他郷阿部家」

    ルールは決めず、工夫すれば、生活はもっと楽しくなる

    とはいえ、その様子を見ていると、とても「普通」とは感じられません。花を飾るとなれば、庭にある植物を切って、飯ごうの中に、さっと活ける。少しでも時間があけば、手紙を書いたり、心に残った言葉をまとめたり。

    ごはんはというと、朝は、スタッフや家族と一緒につくって食べ、夜はいつも宿泊客と同じテーブルにつくのだといいます。ひとりになる時間はほとんどなく、仕事とプライベートを分けることもありません。

    画像: 宿泊客の夕食の準備をする松場さん。「食が人をつなげてくれるから、宿泊客の皆さんと私、スタッフも一緒にいただきます」

    宿泊客の夕食の準備をする松場さん。「食が人をつなげてくれるから、宿泊客の皆さんと私、スタッフも一緒にいただきます」

    「仕事か遊びかわからないね、っていわれることもあります。元気に働けるのが一番。そのためには、ルールや流儀をつくらず、自分で考えて工夫するようにしています。そのほうが楽しいし、周りの人に喜んでもらえるんです」

    決まりはつくらずに、見る人や使う人のことを思って、掃除をしたり、花をあしらったりする。みずから面白がってやったことが、結果として、周りを楽しませることにつながる。それこそが、松場さんの元気の源のようです。

    「家族でもお客さまでも、人と接するのが、一番のエネルギー源。一緒にごはんを食べて、『おいしい』って思うだけで幸せになるし、話をすれば、その言葉から、また元気をもらえます」

    画像: 社員全員での朝礼ではラジオ体操も行う。この日は18歳の新入社員の入社式も。「若い人と接すると、パワーをもらえますね」

    社員全員での朝礼ではラジオ体操も行う。この日は18歳の新入社員の入社式も。「若い人と接すると、パワーをもらえますね」

    朝から晩まで、仕事とプライベートの境目なく動きまわる毎日。疲れることはないのでしょうか?

    「壁にぶち当たったり、うまくいかなかったりすることもあります。でも、悩みや愚痴は全部、大吉さんに話してすっきり。ケンカになることもあるけど、逆にやる気が出るからありがたいですね」と教えてくれました。

    大吉さんは、夫であり、仕事のパートナーでもある存在。どんなことも話せて相談できる相手がいるからこそ、周りとの交流がスムーズにできるかもしれない、ともいいます。

    人との交流のなかで元気になり、それを元にだれかを喜ばせるために動く。松場さんの周りではエネルギーが見事に循環しています。

    「パワーは井戸と一緒だと思うのよ。使わなければ枯れてしまう。汲めば汲むほど、わき出てくるもの」。松場さんは、いつも自分の井戸からエネルギーを汲み上げては、だれかに分けているのです。

    松場登美さんの7つの習慣

    1 心の琴線に触れた言葉を書き留める

    人と話したり、本を読んだり、映画を見たりしたなかで心に残った言葉を書き留めている松場さん(※トップの写真)。ファイル2冊分にもなっていて、これを見ずともスラスラと暗唱できるほど好きな言葉もあるそう。

    2 お客さまとの出会いを大切に

    宿泊施設の「他郷阿部家」では、みずから出迎えたり、夕食を一緒にとったりすることで、お客さまと接する時間をもちます。「来てくださった方には気持ちよく過ごしてもらいたいですし、この土地のよさを伝えたいので、お話しする時間を大切にしています」

    画像: 築230年の家を改装して宿泊施設に。入り口には松場さんやスタッフが日替わりで野の花をあしらい、お客さまを迎えるようにしている

    築230年の家を改装して宿泊施設に。入り口には松場さんやスタッフが日替わりで野の花をあしらい、お客さまを迎えるようにしている

    3 植物を飾るときには遊び心を忘れない

    捨てられていたという農機具の中に、飯ごうを入れて花器代わりに。「この農機具のすき間から花を挿したっていいのよ」と、自由な発想で楽しそうに活ける松場さん。飾る花は、買ったことがないそうで、すべて、庭や山、畑のあぜ道で野の花を摘んできている。

    画像: 花をあしらった場所は、かごやざるが並ぶ廊下。これらのかご類は草取りや畑仕事に使っているのだそう

    花をあしらった場所は、かごやざるが並ぶ廊下。これらのかご類は草取りや畑仕事に使っているのだそう

    元気な人の7つの習慣 群言堂 松場登美さん(後編)へ ⇒

    <撮影/辻本しんこ 取材・文/晴山香織>

    松場登美(まつば・とみ)
    1949年、三重県生まれ。1981年に夫の故郷、島根・大田市に移住。古民家を再生し、ショップ「群言堂」や宿泊施設を営む。
    http://www.gungendo.co.jp

    ※トップの写真について
    「書いたあとに何度も見返しているため、自然と心にも刻まれて残るんです」。ファイルには付箋がびっしり

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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