(『天然生活』2016年7月号掲載)
谷家の片づけ3カ条
一 「今日はここだけ」と場所を決めてとことん整理する
二 見せる収納は色を混ぜすぎずにすっきりさせる
三 細かくルールを決めすぎない
リビング・ダイニング
日用品は棚の中へ。見た目がかわいい雑貨は棚の外に
鎌倉の海を一望できる、2階建ての一軒家。谷ヒュンスクさんは、この家に、夫と11歳の息子との3人で暮らしています。
夫の卓さんは、東京・青山と吉祥寺にある人気のインテリアショップ「オルネド・フォイユ」の店主。パリで長年暮らした経験を生かしてDIYを実践し、専門の書籍も出版しています。
6年前に購入したこの中古の家も、リフォームをするなかで、みずから手を動かしてつくった収納を少しずつ加えてきました。家族が一日の大半を過ごすというリビング・ダイニングには、古材でつくった収納棚や、ディスプレイ棚が心地よく収まっています。
「息子はダイニングで勉強もするし、夫も、仕事が終わればリビングのソファで過ごしています。私の毎朝は、ふたりが前の晩に床に置きっぱなしにした本や、ソファから落ちたクッションを片づけることから始まるんです」

リビングのソファは、フランスで購入して、日本に運び込んだもの。壁にはカードやポスターを入れた額縁をリズミカルに並べて。以前は、この壁にも飾り棚を付けていたが、部屋全体のバランスを考えて取り外した
気をつけているのは、色数を抑えること
ここは、雑誌をはじめ、子どもの勉強道具やおもちゃ、日用品など、家族が使うあらゆるものが置かれる空間。それでも、すっきりと見えるのはなぜなのでしょう。
「気をつけているのは、色数を抑えること。基本的に、ナチュラルカラーと白で統一して、そのほかの色のものは、しまって見えないようにするんです。とくに私はプラスチックの色が好きではないので、おもちゃや日用品などは外に出しません。だから、物が比較的多くても、ごちゃごちゃした雰囲気にならないのかも」
シンプルな空間のアクセントになっているのが、ところどころに置かれた、ビビッドな色のオブジ
ェ。卓さんが旅先で気に入って買ってきたものを、ヒュンスクさんが厳選してバランスよく飾っているそうです。
「物が増えすぎるので、あまり買わないで、というんですけど(笑)」と、ヒュンスクさん。
「僕は、かわいいと思ったら買わずにはいられない性分。とくに動物ものが好きで、先日の買い付けでも白クマのオブジェを連れて帰ってきたばかり。それで、よく奥さんに怒られるんです」と、卓さんも苦笑します。
1 アンティークの引き出しを日用品の収納ボックスに

卓さんが蚤の市で大量に買ってきた、元金具入れの引き出し。「使い先を考えず購入してしまいましたが、いまはあちこちに置いて、文具やコード類などの日用品を、用途別にしまっています」
2 詰め込む、飾る、のバランスが大切

オープン棚には、雑誌類や、フランスで手に入れたオブジェなどが。本をギュッと一段に詰め込んだら、ゆったり見せる段をつくってメリハリを。雑然さも、ほどよくカジュアルな雰囲気に
3 かわいい本やノートは見て楽しめるように

卓さんが壁に取り付けた自家製飾り棚。フランスの書店で購入した絵本やノートなど、「ここは僕の好きなもののコーナーなんです」と卓さん。「見せること」を徹底した、目を楽しませる一角
4 生活感のあるものはボードに隠して収納

テレビが載った古材のボードの中には、子どものゲーム機や、プロジェクター、蚊取り線香など、家族が使うあらゆるものが。定位置などは細かく決めず、「ざっくりと」しまうのが谷家流
「片づけが楽しい家」 谷ヒュンスクさん、「しまう」と「見せる」の気持ちいいバランス(2)「キッチン編」へ ⇒
「片づけが楽しい家」 谷ヒュンスクさん、「しまう」と「見せる」の気持ちいいバランス(3)「水まわり編」へ ⇒

谷ヒュンスク(たに・ひゅんすく)
鞄ブランド「BOTTE」デザイナー。韓国で生まれ育ったのち、渡仏。現地でファッションを学び、アパレルの世界へ。家族とともに日本に移り住んだあと、2010年に、「BOTTE」を立ち上げる。バッグは、「オルネド・フォイユ」にて販売中。
https://www.ornedefeuilles.com/
※トップの写真について
リビングダイニングで存在感を放つのは、フランス製のテーブルと椅子。部屋のあちこちに、夫の卓さんが蚤の市で見つけた古い引き出しが収納ボックスとして置かれている
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです