(『天然生活』2016年7月号掲載)
「片づけが楽しい家」 谷ヒュンスクさん、「しまう」と「見せる」の気持ちいいバランス(2)「キッチン編」より続き —
谷家の“きれい”を保つ日々の片づけ
アンティークや古材を使った遊び心たっぷりの収納や、美しく見せるしまい方など、随所にアイデアが光るヒュンスクさんの住まい。
とはいえ、家族3人で暮らしている以上、日々の片づけは大変なはずです。デザインの仕事をはじめ、育児に家事にと大忙しのヒュンスクさんは、どのように家の中をきれいに保っているのでしょう。
「簡単な片づけは毎朝していますが、あとは時間がある日に、一カ所だけと決めて、そこだけを徹底的にきれいにします。あまり長時間やると疲れてしまうので、小分けにするんです。『今日は、引き出し一個分』というときもありますよ。一カ所でも片づくと、気持ちがすっとします」
もうひとつは、あまりルールを厳密に決めすぎないこと。
「細かく収納場所を分けて、『これは必ずこの位置に』と決めるのは、私の性格からいって無理。逆に、片づけるのがストレスになってしまいます。食器類はこの棚、子どものものはこのコーナー、など、大まかなルールは決めていますが、あとは、あまり気にしないようにしているんです」
「片づけルール」をきっちりしすぎず、ゆるやかに、自分のペースに合わせて住まいを整える。整頓されていながらも、ほどよく力が抜けたこの家の雰囲気は、ヒュンスクさんの魅力的なおおらかさから生まれているのかもしれません。
谷家の間取り
片づけの時間割
6:30 起床
リビングをサッと片づけ(15分)
7:00 朝ごはん、お弁当づくり
8:00 子どもを送り出したあとに、家事をスタート
ハンドワイパーで家具の上のほこりをきれいに(15分)
そのあと、キッチンの片づけや、ごみ捨て、植物の水やりなど。トイレや水まわりの掃除は、エコ洗剤で
部屋に毛が落ちないように、ベランダで愛猫ケイトをブラッシング(10分)。ケイトも気持ちよくて大喜び
8:30 仕事
16:00 子どもの帰宅
19:00 夕飯
23:00 就寝
水まわり
トランクや木箱を壁に取り付けた、楽しい収納棚
10 古いトランクが扉付きの棚に変身
11 ブロカントのトレイが新たな役割を担う
12 壁に取り付けた棚は元ポテトボックス
13 掃除道具はまとめて洗面台の下へ
お手本にしたい、谷さんちのフック使いのテクニック
限られた場所の玄関は壁掛けフックが活躍
フランスの古い壁掛けフックは、家族みんなの帽子をかける場所。玄関にあれば、出かけるときに、さっと取れる。コートスタンドを置くスペースがなくても、問題なし
谷家では水栓バルブも。DIYでフックをつくる (※上の写真)
谷さんの家では、釘と組み合わせた水栓バルブや、ガス管をフック代わりに使用。まっすぐ並べず、ランダムな位置に付けるのも、遊び心が詰まったアイデア
クローゼットの収納力をドアノブのフックで向上
さまざまなデザインがあるドアノブやドアハンドル。クローゼットの扉の裏から、ネジ留めしてフックとして使っている。強度を保てば、バッグなどもかけられる
金属のタイルを合わせてフックコーナーを演出 (※上の写真)
主張の強いドアノブを取り付ける場合、収納棚のテイストとのバランスが難しいもの。そこで、タイルやアンティーク調の壁紙などを張れば、より楽しいフックコーナーに
ドアの内側を利用したタオルハンガー
ピンチのフックに挟んで、ひっかけて
S字フックはどこでも気軽に取り入れられる
「片づけが楽しい家」 谷ヒュンスクさん、「しまう」と「見せる」の気持ちいいバランス(1)「リビング・ダイニング編」へ ⇒
「片づけが楽しい家」 谷ヒュンスクさん、「しまう」と「見せる」の気持ちいいバランス(2)「キッチン編」へ ⇒
谷ヒュンスク(たに・ひゅんすく)
鞄ブランド「BOTTE」デザイナー。韓国で生まれ育ったのち、渡仏。現地でファッションを学び、アパレルの世界へ。家族とともに日本に移り住んだあと、2010年に、「BOTTE」を立ち上げる。バッグは、「オルネド・フォイユ」にて販売中。
https://www.ornedefeuilles.com/
※トップの写真について
「イケア」の洗面台や「無印良品」のラックなどに交じって、ビンテージの古道具を上手に利用した収納棚が並ぶ。ここでも、色は白とナチュラルカラーに絞っているため、美しく見える
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです