(『天然生活』2016年11月号掲載)
小さな暮らしの3カ条
一 欲しいものはとりあえずつくる
何か必要となったときには、まず、つくれるかを考える。自分の手でつくった経験を大切にしたい。
二 仕事とプライベートを分けない
ふたつの間をゆらゆらと漂うように暮らす。仕事も好きなことなので、あえて意識しての気分転換は必要ない。
三 忙しい期間を分ける
子育て真っ最中のふたり。展示会の予定は重ならないように入れ、どちらかが時間に余裕をもつ。
眞弓さんの担当は、料理と台所
得意なことは、得意なほうが。台所のレイアウトは、眞弓さんの使いやすいように。弘隆さんは、口を出しません。
ふたりでひとつの空間で作品づくりをし、子育ても一緒に行う暮らし。多くのことには、とくに役割を設けてはいませんが、なんとなくの分担はあります。
「料理は、私が担当することになっていますね。夫はひとり暮らしをしていたので、最低限の料理はできるはずなんですが、いまはすっかり、私の役割になりました」と眞弓さんがいえば、「できることはできるんですが、彼女がつくったほうが、断然早いし、なにより、おいしいから。僕は、食器洗いとか、そちらのほうで協力することにしました」と弘隆さん。
作品づくりをしているなかでの料理。それは、気分転換になるのでしょうか。それとも、ただの “少し面倒な家事” なのでしょうか。ここでも、飛松家の “流れる” ような考え方が垣間見られます。
「やはり、作品をつくっているときには、頭をはっきりと料理に切り替えたくはないんです。だから、頭のなかに作品に対するイメージを保ったまま、何も考えずにつくれる料理を出すことが多いです」
ぽっかりあいた一日を料理の日と決めて、下ごしらえを着々と済ませておく。その材料を使いながら手を止めることなく料理を仕上げるのがポイントなのだと、眞弓さんは話します。
「もう一品つくらなくちゃ、この味つけは何にしよう? そんなふうに立ち止まらないことが大切。さっと立って、迷うことなくつくって、食べて、片づける。そのまま自然に、作品の世界に戻っていけるように」
小さな暮らしの楽しみ 仕事する日の簡単ごはん
さっと食べられる、つまめるものを中心にして。
サラダ豚丼
材料(2人分)
- 豚こま切れ肉 250g
- 小松菜の茎の部分 2茎分
- しめじ 1/2パック
- 味噌だれ 大さじ3(※)
- レタス、きゅうり 各適量
- オリーブオイル 大さじ3
- ごはん どんぶり2杯分
※味噌だれは、味噌大さじ4、酒大さじ1、にんにくの薄切り1片分、砂糖大さじ1を合わせたもの。
つくり方
- フライパンにオリーブオイルを熱し、中火で豚肉を炒める。
- 2〜3cm長さに切った小松菜、小房に分けたしめじを加えて炒め合わせ、豚肉に火がとおったら、味噌だれを加えてからめる。
- どんぶりにごはんをよそい、食べやすい大きさにちぎったレタスと薄切りにしたきゅうりをのせ、さらに豚肉炒めをのせる。
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ハムとレタスのサンドイッチ
材料(2人分)
- サンドイッチ用食パン 4枚
- レタス 2枚
- きゅうりの薄切り 1本分
- ハム 2枚
- マヨネーズ 適量
つくり方
食パンの片面にそれぞれマヨネーズを薄くぬり、レタス、ハム、きゅうりをはさむ。食べやすい大きさに切り分ける。
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職住一体の小さな暮らし。飛松弘隆さん、小駒眞弓さんの住まいとアトリエへ ⇒
「家具と照明」・職住一体の小さな暮らし。飛松弘隆さん、小駒眞弓さんの住まいとアトリエへ ⇒
<撮影・柳原久子(https://water-fish.co.jp) 取材・文/福山雅美 イラスト/須山奈津希>
飛松弘隆(とびまつ・ひろたか)
陶磁器作家「飛松陶器」として2005年から活動。「飛松灯器 tobimatsu TOKI」の屋号で磁器の鋳込みを中心とした作品を発表。
http://tobimatsu-toki.blogspot.jp
小駒眞弓(こごま・まゆみ)
陶磁器の豊かな質感を生かしたジュエリーブランド「U’U’(ウウ)」として活動
http://uu-unununium.blogspot.jp
※トップの写真について
広さ2畳ほどの小さな台所。見方を変えれば、振り返るだけで欲しいものに手が届く使いやすさもある。小柄な眞弓さんが使いやすいように、高い位置には物があまり置かれていない
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです