働く場所と暮らす場所。あえて、分ける必要はないと考えたふたり。だって、少し前までは、そうやって暮らす人ばかりだったはずですから。今回は、弘隆さんが担当する家具や照明のお話を。
(『天然生活』2016年11月号掲載)
小さな暮らしの3カ条
一 欲しいものはとりあえずつくる
何か必要となったときには、まず、つくれるかを考える。自分の手でつくった経験を大切にしたい。
二 仕事とプライベートを分けない
ふたつの間をゆらゆらと漂うように暮らす。仕事も好きなことなので、あえて意識しての気分転換は必要ない。
三 忙しい期間を分ける
子育て真っ最中のふたり。展示会の予定は重ならないように入れ、どちらかが時間に余裕をもつ。
弘隆さんの担当は、家具と照明
照明はもちろん、弘隆さんの作品を。ふたりの好みが似ているから、「いいな」と感じる雰囲気は同じです。
あ・うんの呼吸を過信しないこと
対して、弘隆さんの担当は、家具と照明。これは、夫婦の嗜好が似ているからこそ、分担が可能になったことです。
「ただ、常にまったく同じ意見になることはさすがにありませんから、小さくても違和感を覚えたら、きちんと伝えるようにしています。物を選ぶときには、『これがいい』ではなく、どうしてこれを選びたいかを、細かく伝える。たとえば、『この照明はラインがまっすぐ伸びるので、光がすっきり広がる。だから、この部屋には似合うと思う』というふうに。すると、相手も納得できるし、ときには、『いや、この部屋には丸い光もありだと思うけれど』と、こちらが納得できる意見を出しやすくなる。そこで、もやもやしたものを残さないのが大切なところで」
あ・うんの呼吸は理想だけれど、それを急いでしまってはときに齟齬が生まれることも、ふたりは知っています。
生活と仕事、それをひとつの小さな空間でうまくまわしていくために重要なのは、同じ方向をぶれることなく向いていること。
ときに立ち止まって、お互いの視線の先を細かく確認しながら、飛松家の暮らしは、ゆるやかにまわり、流れていくのです。
壁付けの照明は、角度が自由自在
お気に入りの椅子は、張り替えて
鳥かごは、驚きの手づくり
照明の複数使いが、空間を豊かにする
なぜだか、ひかれる古びたはしご
間取り図
飛 松 家 流 、グ リ ー ン と の つ き あ い 方
丹精込めてというよりは、植物それぞれの生命力に驚きながら、一緒に暮らす感覚です。
放っておけるほど、たくましいものを
植物は、適材適所に
愛鳥・ムギの安らぎの場としても
玄関前には多肉植物がいっぱい
東京の下町に、静岡の里山
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職住一体の小さな暮らし。飛松弘隆さん、小駒眞弓さんの住まいとアトリエへ ⇒
「料理と台所」・職住一体の小さな暮らし。飛松弘隆さん、小駒眞弓さんの住まいとアトリエへ ⇒
<撮影・柳原久子(https://water-fish.co.jp) 取材・文/福山雅美 イラスト/須山奈津希>
飛松弘隆(とびまつ・ひろたか)
陶磁器作家「飛松陶器」として2005年から活動。「飛松灯器 tobimatsu TOKI」の屋号で磁器の鋳込みを中心とした作品を発表。
http://tobimatsu-toki.blogspot.jp
小駒眞弓(こごま・まゆみ)
陶磁器の豊かな質感を生かしたジュエリーブランド「U’U’(ウウ)」として活動
http://uu-unununium.blogspot.jp
※トップの写真について
2階の和室には仕事関係の道具類はなく、プライベートなくつろぎスペース。朝ごはんは、のんびりと、ここで食べることにしている。食事が終わったら下のアトリエに移動して、仕事がスタート
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです